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大震災関連ニュースの抄録です。編集長のコメントはマルーンカラーで明示します。


■2月1日

如月の随想 震災の記憶の体内時計

 神戸では震災のことはほとんど話題にならない。誰がどのような悲惨を秘めているかわからないからである。〈中略〉
 「記憶を風化させるな」とことごとに叫ばれる。しかし、忘れたくもあり忘れたくもなし、である。震災の記憶を継承する「人と防災未来センター」で災害を再現したビデオは空襲の記憶と重なり、イラクの今をも想像してしまう。街角のお地蔵様が増えた。地蔵盆が盛んだという。これは記憶の浄化であろう。全国の防災システムが向上したのならそれはよいことだ。(兵庫県こころのケアセンター所長・精神科医 中井久夫 神戸新聞 2月1日)

 中井さんは今では午前5時過ぎに起きてしまうからだになったという。いわば震災の奇妙な痕跡である。私は小さな音の目覚ましで5時25分に起きる。先生のような体内時計はない。ま、鈍なのだろう。
 去年、神戸市民の25%が震災を体験していないと聞いたら、この一月には、もう30%だという。すさまじい勢いで市外流出、市内流入がおこっているのだろうか?

■1月19日

 
軌跡 被災マンションの12年 最後の一棟 
 再建へ 終わりなき震災

 
阪神・淡路大震災の被災地でただ一つ、今も再建に着手できていないマンションがある。宝塚市の「宝塚第三コーポラス」(5階建て、131戸)。1974年に建設され、震災では「半壊」判定を受けた。
 震災の4カ月後、業者は補修見積もりを一戸約580万円とした。その額の大きさに、立て替えを望む住民が増え、97年11月には約9割の賛成で建て替えを決議した。翌月、補修派住民2人が提訴、「決議は有効」とする大阪高裁判決が確定するまで6年以上かかった。
 進まない復興に多くの住民は生活拠点を移していた。住民が去り、時間が止まったような宝塚第三コーポラスで、今も一人、生活を続ける女性(72歳)がいる。裁判原告の一人。裁判は負けたが、その後、建て替えの計画は決まらず、自分の転居先も見つからないため住み続けている。「ここは『終の住処』と思っていた場所。出ていけと言われるまで住むつもり」
 12年間務めてきた管理組合の理事長、山口正治さんは「新たな計画づくりを進めても、ほとんどの人が戻れない。再建とは名ばかりの、つらい清算事業」とつぶやいた。
 震災から13年目、被災地最後のマンション再建事業にはまだ、いくつものハードルがある。震災は終わっていない。(磯辺康子記者 神戸新聞 1月19日)

「なんて運が悪いのか、とは思います。でも、管理組合発足の時、こんな事業は一生に一回。やりとげよう、と言った。自分が背を向けるわけにはいかない」という山口さん。一方で、年金収入しかない女性が悪いわけではない。
 建て替え支援はあっても、補修支援が乏しいのも現実だ。
最後の一人まで支援するといったNGOがある被災地で、最後の一棟の行く末を誰が支援できるというのだろう。

■1月12日

 
震災12年・追悼関連行事 次世代に教訓の継承を
 学校・園で過去最多 防災教育や避難訓練 寺院では犠牲者の13回忌法要も 


 阪神・淡路大震災から丸12年を迎える一月を中心に、追悼関連行事を開く学校・幼稚園が過去最高になることが「市民による追悼行事を考える会」のまとめでわかった。直接の震災体験がない子どもたちに、教訓や防災意識の継承をめざす取り組みが多いという。
 また今年は仏教での節目にあたる十三回忌になることから、17日正午に鐘をつく教会・寺院・廟は昨年の168件から大幅に増えて236件になる。神戸港などでは35隻の船舶が汽笛を鳴らす。(神戸新聞 1月12日)

 
昨年、ある話し合いの席で、「どうして1.17に追悼せなあかんの。追悼のためというなら、ふだんの日常の中で、人災を避けるいろんな運動をしていかなあかんのとちゃうの」という方がいた。正論ではあろうが、すべからず記念行事というものがマンネリ化していく、風化していくのは避けられないのではあるけれど、それでも、いつも決まって追悼するというかたちがあるのであれば、それはそれで人の精神の安定には役立っていると思われる。
 現場に出かけ、型ではあっても、その場にいること自体の行為を駄目だ、というのは僭越ではないだろうか。
 個人レベルでの、追悼の深浅はあっても、現場で手を合わせることは、案外大切なことなのだ。

■2007年1月4日

今年も災害支援募金 コープこうべ

 阪神・淡路大震災を機にコープこうべが設けた災害緊急支援基金の募金が、3日までに県内の大半の店舗に始まった。毎年、震災の起きた一月に集中募金に取り組んでおり、今年も協力を呼びかけている。
 これまでに新潟県中越地震やジャワ島中部地震など国内外の被災地に約1730万円を贈っている。今年の集中募金は全155店舗で実施。郵便振替でも受付、口座番号は01120-2-32300 加入者名は「コープこうべ災害緊急支援基金」(神戸新聞 1月4日)

 
95年の震災で本部ビルが全壊したコープこうべ。99年に当時の支援への感謝と震災の風化を防ごうという思いから始まった募金活動だという。継続事業として続けられるか否か、一つひとつの事業が毎年試されている。

■12月18日

神戸ルミナリエ 継続開催 資金難でピンチ
 警備費↑ 来場者↓ 頼みの綱は個人募金  

 阪神・淡路大震災の犠牲者を悼み、街の復興を願う光の祭典「神戸ルミナリエ」の継続開催が、資金難からピンチに陥っている。企業協賛金が年々減っている上、本年度から震災関連の公的補助金が無くなったためだ。会場には毎年、500万人前後、訪れるが、その来場者数もクリスマスを期間から外した前年から減少。
 主催の組織委員会によると、総事業費は約6億円。支出内訳は05年を例にとると、筆頭は警備費の1億6300万円、イルミネーション本体制作費1億5900万円、残りを運営、広報費に充てている。警備費は00年、9800万円だったが、01年夏の明石歩道橋事故を機に雑踏事故対策を強化、毎年増額してきた。逆に本体制作費は00年の2億7600万円から大幅に圧縮。
 対する収入は企業協賛金が2億9300万円、神戸市と兵庫県からなどの公的補助金が2億500万円、募金とグッズ販売収入などが8000万円でなんとか均衡した。(12月16日 神戸新聞)
 
 
鎮魂と復興、残念ながら、このコンセプトが色あせて見える現在のルミナリエ。なんとしてでも継続すべきイベントなのかどうか、市民一人ひとりが考えているのではなかろうか。開催当初は別にして、表には出てこない声、神戸市民で参加しない人々もまた多い。

■11月29日

ジャワ島地震半年 揺れに強い住宅が完成 ヤシ材活用 住民に「防災教育」
 バントゥル県に25棟 神戸のNPO 再建支援  

 27日で発生から半年を迎えたインドネシア・ジャワ島中部地震の被災地で、NPO法人「CODE海外災害援助市民センター」が住宅再建を支援していた集落の木造住宅25棟が完成した。現地の木材などを活用して、地震の被害も減るように工夫した。
 ジャワ島では、もろいレンガ造りの家屋が多かったために大きな被害が出た。CODEでは身近な材料で耐震性も考える建築家のエコ・プラウォットさんに協力。最も被害の大きかったパントゥル県ボトクンチェン集落に。寄付で集めた300万円を提供した。
 22日の完成式に出席した村井雅清理事は「地域の環境に応じた材料を使えば、住民も住宅の強さに関心を持つ」と話した。(11月29日 神戸新聞)

 
作業には住民が200人も参加し、建築家の指導に従い、自分達の手で建てたという
。政府の住宅再建補助は鉄筋に限られているというが、このような複線思考に基づく再建が認められないのは、やはり近代の呪縛なのか。

■11月12日

人と防災未来センターが 災害ボランティア育成教材作成
 ワークショップの手法を解説  

 人と防災未来センターはこのほど、災害ボランティアを育成するワークショップのやり方をまとめた教材『災害ボランティア 実践ワークショップガイド』を発行した。市民や行政職員、ボランティア団体の指導者らが研修に使えるように、実際のワークショップの様子も盛り込むなどして、わかりやすく解説した。
 6部構成。被災の具体的ケースの紹介、避難所を想定したワークショップの進行手順、プライバシーの保持、被災者の要求調整のための議論進行方法など。300冊を希望者に無料配布する。人と防災未来センターHP参照のうえ、所定の様式で電子メールかファックスで申し込む。同センター事業課078-262-5067(11月11日 神戸新聞)

 
これも震災が生み出した記憶の記録である。事前の訓練といってもいい。教訓というよりも切実な対処法だ。まだ被災していない地域の人々にこそ必要と言える

■10月23日

 
震災10年過ぎ、やっと 翠が丘マンション起工
 未再建・未補修の4物件で初めて  

 阪神・淡路大震災で半壊し、解体された芦屋市の「翠が丘マンション」の跡地で24日、新マンションの起工式があった。来年10月に完成する予定。震災で全半壊し、建て替えも補修もされていない神戸・阪神間の4件のマンションのうち、最初の着工となる。新マンションは41戸(旧48戸)。被災マンションの再建を支援する特例補助制度を活用する。再建前の住戸(一律約40?)とほぼ同じ広さの最小タイプを取得する場合、住民の負担は約1300万円。再建後に戻る世帯は、21戸にとどまるという。(10月23日 神戸新聞)

 
残る3件のうち、2件は解体中、宝塚市の
一件だけは、具体的な計画が決まらず被災当時のままとなっている、という。

■10月16日

新潟・中越地震 仮設住宅住民 半数が「集落に戻らず」
 100世帯調査 今後の生活不安は81%  

 発生から23日で2年となる新潟県中越地震で被災し、仮設住宅で暮らす100世帯を対象に共同通信が実施したアンケート(長岡市、小千谷市など)で、約半数の49%が地震前に住んでいた集落を離れ、別の地域に移り住む意向を示していることがわかった。今後の生活に不安を感じている人は81%にのぼった。
 災害時こそ、人のつながり。半数の人が仮設住宅に設置された集会所や談話室、義援金の分配・交付が役に立ったと回答した。(10月15日 神戸新聞)

 
阪神・淡路大震災での教訓が生かされたといっていい。不足していたのは、住宅再建の支援や支援対策の説明、豪雪対策などが上位を占めた。しかし、現在、1600世帯、約5300人(最大時約9600人)が入居しているが、仮設住宅がなくなれば、またバラバラになってしまうという不安はつきまとう。

■10月6日

 
のじぎく兵庫大会 北海道、三重、新潟の選手団へ
 被災乗り越え 頑張って 神戸のNPO法人 応援団を結成  

 兵庫県内で14日から16日まで開かれる第6回全国障害者スポーツ大会「のじぎく兵庫大会」に向け、災害被災地の救援に取り組むNPO法人「阪神高齢者・障害者支援ネットワーク」が、北海道、三重県、新潟県選手団の応援団を結成した。いずれも近年、自然災害で被害を受け、同法人のボランティアらが支援に入った地域。「被災した選手もいるはず。同じ被災者として励ますことができれば」と応援の準備を進めている。(10月6日 神戸新聞)

 
知らせを受けた
各選手団からは、「新たな出会いを楽しみに、ベストを尽くしたい」との返信が届いた、という。デイサービスに通うお年寄りたちも応援に行くことを楽しみにしている、とか。またここで、新たなネットワークが広がることだろう。
 実は、私の所属するトライアスロン・クラブ「ギルガメシュ」からも、選手が水泳に出場する。彼は脳腫瘍の後遺症で左半身が不自由だが、片手でクロールを泳ぐ。昨年の岡山国体に続いて、予選を突破した。
 彼は障害を持つことで、逆に、周りの人たちとともに「生きること」、「努力すれば報われる」を体感した。
 会場の尼崎・スポーツの森で14日、スタートを切る。もちろん、仲間とともに応援に行く。

■9月22日

木枠で構成 耐震建築に新工法「j・pod」 強さの秘密は「ロ」の字形
 間伐材のしなりが、揺れを分散 工期も短く、低コスト
 宝塚で初の実用化 

 阪神・淡路大震災の教訓を生かそうと考案された、耐震性の高い「ジェイ・ポッド」と呼ばれる木造建築の新工法を用いた住宅の建設が、宝塚市の福祉施設で進められている。柱で支えるという従来の考え方を転換。「ロ」の字形の木枠を等間隔に並べて木材のしなりを利用することで揺れの力を「逃がす」という。実用化は全国初で、関係者は「工期が短く費用も安い。これを機に全国に普及すれば」と話している。(9月22日 神戸新聞)

 
エンドウ豆のさや(pod)のような木枠(約3m四方)でできた箱をつなぐ(joint)ことから名付けられたこの工法は、京都大学大学院地球環境学の小林正美教授ら建築業者らのチームが昨年、開発したもの。
 単一小口径木材で作るため、スギの間伐材の使用が可能。強い振動を受けても建物全体が変形して力を逃がすという。実用化されるのは、重度障害者入所施設「はんしん自立の家」(宝塚市美幸町)。
 震災のときには災害弱者になると想定される障害者にとって、こころ強い建物になりそうだ。コストパフォーマンスに優れ、いまという時代に適合した木造というのがいいではないか。まさに、教訓が生きた証といっていい。
 今では、全国の自治体なども注目しているという。

■9月13日

震災10年後 兵庫県調査 76%の人が被災者意識なし
 経済的影響を「脱した」は半数

 兵庫県は12日、阪神・淡路大震災から10年の2005年1月時点で実施した「生活復興調査」の結果を公表した。それによると、75.5%の人が被災者意識は「なくなった」と答えていることが判明。一方、震災の地域経済への影響を「脱した」と答えたのは半数にとどまり、今なお震災が経済面に影を落としていることも明かになった。調査は、99年の予備調査から始まり、01年、03年と継続してきたが、県は今回で終えるという。(9月13日 神戸新聞)

 
調査対象は震度7地域と都市ガス供給停止地域の計3300人に調査票を郵送、1028人からの回答。
 震災体験を「得難いものだった」とする人は8割強、一方で未だに2割近くの人が「家計に影響が残る」「被災者だと意識」、3割の人が「震災体験を過去から消したい」としている結果、個人の復興感の高まっている人、低くなっている人がともに増加し、全体として高まらず、ばらつきが広がっていることをどう見るか。
 震災のせいにはしたくないけれど、やはり「あの震災がなければ」という思いはあって当然だろう。
 とある寄り合いで「なんで、1.17に集まるの? その社会的な意味合いはなんなん?」という問いかけがあり、居合わせたそれぞれが思いを吐露したのだが、その問いは震災体験と社会改革との流れが大きな力を出し得ないことへの不満とも受け取れた。

■8月28日

 21世紀の針路 世界的な災害多発時代へ 二つの震災体験を生かしたい

 深刻な途上国の災害環境の悪化に対して、わが國が経済発展の過程で犯した失敗事例を具体的に提示することによって、同じ轍を踏まないように事前対策を講ずることの大切さを訴えたい。
 …(わが國にとっても)今世紀半ばまでには必ず発生する東海・東南海・南海地震や首都直下地震の被害像が、今もってはっきり見えていないからである。
 不安な要素は、例えば過密巨大都市の各種ライフライン群の高度の相互依存性や、数千にのぼる中山間及び沿岸部の孤立集落の発生である。「情報」が介在して、世界的に未経験の、複雑系の巨大複合災害になることがはっきりしている/減災の成否は、その被災シナリオをイメージできるかどうかにかかっている。(河田恵昭/客員論説委員、京大防災研究所長、人と防災未来センター長 8月28日 神戸新聞)

 
はっきり言われてしまった。必ず起こる大地震。キーワードは複雑系巨大複合災害、だ。
 過密な都市部から過疎化・高齢化の山間部まで、高度成長期からバブル経済破綻期までの約40年間、幸いだったとしか言いようがなかった。その間、災害に脆弱な国土になってしまったのは、慢性病の公害と急性病の災害に蝕まれやすい体質に変わったからだ、と先生は言う。
 アジアでは、爆発的な人口増加→短縮型工業化による経済発展→都市拡大→環境悪化+地球の温暖も相乗→災害発生特性の変化、という特徴が顕著だ。
 専門家の杞憂だとは思えない。為政者及びそれを選出する国民への警告である。

■8月23日

 
仮設住宅建設支援へ ジャワ島で神戸大学調査団
 地元大学と連携 現地視察報告会

 今年、地震と津波に相次いで襲われたインドネシア・ジャワ島の被災地を訪れていた神戸大の建築学系の調査団が22日、長田区の神戸フィールドスタジオで報告会を開いた。地震被災地では竹の支柱をブルーシートで覆っただけの簡易テントが多く、10月の雨期までに被災者向け住宅の確保に見通しをつける必要性を指摘。今後、現地の大学と連携しながら、仮設住宅の建設を支援していく方針を示した。
 塩崎賢明・工学部教授は、現地の連携大学による復興支援計画を紹介。まず鉄筋コンクリートのごく小規模な仮設住宅を建設、復興の進展に伴って恒久住宅へと核大させるという。政府の公的支援の見通しがつかないなか、すでに一部の村で建設が進められ「阪神・淡路大震災でも実現しなかった効率的な手法」と評価した。(8月23日 神戸新聞)

 
かつては竹や木造の住宅が多かったが、ここ50年ほど前からは見かけのよいレンガづくりが増えていたそうである。別の村では、竹で耐震性を確保できる仮設住宅も提案されているそうで、風土に見合った家の見直しを考えているというところだろうか。日本で伝統工法での木造が見直されているように。

■8月17日

地震被害の神戸ートルコ 被災地結ぶ 草の根組織
 現地派遣の市職員ら結成

 1999年8月のトルコ北西部大地震で被災地に派遣された市職員5人の呼びかけで、神戸ートルコ友好協会「トルコーべ」が結成されることになり、地震から丸7年の17日、中央区内で設立総会が開かれる。帰国後も継続した現地と神戸との友情が実を結んだかたちで、市民レベルでの文化交流などを目指す。(8月17日 神戸新聞)

 
国際緊急援助チームの一員として現地入りし、避難所の運営方法や仮設住宅の提供などを求めて活動したことから、その後も、トルコ人迎賓を販売して被災地支援に充当するなどして継続。現在、神戸在住のトルコ人など約100名の会員がいる。http://www.kcc.zaq.ne.jp/canal/

■8月13日

 
スーパー都市災害から生き残る 河田恵昭 著
 具体的「防災術」を示す 現場を知る研究者の視点

 防災研究の第一人者が書き下ろした実践的な災害対策本。著者は「人と防災未来センター」のセンター長、京都大学防災研究所長を務める。東京のような大都市で災害が起これば、あらゆる種類の災害が同時多発的に起こり、時間を追って」災害の様相も変わっていく。著者はそれを「スーパー都市災害」と名付け、最悪の事態を想定した備えを提言する。
 スーパー都市災害は「一言でいえば大複合災害」という。阪神・淡路大震災のような「都市災害」の規模をはるかに超え、都市は経験のない混沌に陥る。
 東京では、阪神・淡路大震災の教訓が伝わっておらず、あのときの経験のうち何が使えるのか、何が使えないのかがわかっていない」と話す著者。自分の身を守る技術を「文化」として継承し、日常生活のなかに根付かせていくことが「減災」につながると訴える。(社会部・磯辺康子)
(8月13日 神戸新聞)

 
過去の災害の経験値から打ち出された数字を基に、対策を講じるのだが、生き残るための防災術は、個人、企業、自治体とそれぞれでできる備えのなかにある。兵庫県も、「公助」(施設的な整備)でできる限界を明確に示し、住民の力とともに減災社会を目指そうとしている。

■8月6日

 
東京の被災地支援グループ 神戸の全小学校に絵本寄贈
 子どもの素朴な言葉 綴った一冊

 阪神・淡路大震災の被災地で支援コンサートを続けているグループ「企画室篁(たかむら)・USA」(東京)はこのほど、子どもの素朴な言葉をもとに「母親が綴った絵本「にんげんのお花は?」(新風舎刊)を神戸市内の全小学校に送った。同グループは、東京都練馬区の主婦、榎戸敬子さん(63)が主宰し、10年前から神戸市内の小学校などでプロの音楽家の巡回コンサートを延べ約140回開催。カリフォルニア州での震災展なども開いてきた。
 神戸の小学校に贈った絵本は榎戸さんの長女、田崎文子さん(33)の作品。長女のあずささん(5)が発した言葉をもとに文を綴り、文子さんみずからが絵を描いている(日本語版/英語版)。(8月6日 神戸新聞)

 
ある活動や、しきたりが
世代が続いて受け継がれていくのは、素晴らしいことだ。祖母・母・娘、いのちが受け継がれていくとは、こういうことも含めての謂いだと思う。

■7月28日

 
山古志小児童 復興学ぶ 神戸の経験を故郷に
 人と防災未来センターを見学 長田の住民らと交流

 新潟県中越地震で全村避難した旧山古志村(現・長岡市)の小学生(8人)と保護者らが27日、神戸市を訪れ人と防災未来センターを見学した。29日まで滞在し、神戸の被災者らと交流する。
 主催したボランティア「災害応援にゃんこ隊」の代表、河合純さんは、「復興はこの子たちが、大人になるまでつづく。神戸の被災者に出会い、自分にできることを考えてほしい」と話した。(7月28日 神戸新聞)

 
地震から1年半。農業や錦鯉の養殖など地場産業は大きな打撃を受けたままだという。学校に戻って、青年になるまで、彼らは地元で復興の過程を見ることになるし、そのなかでどう関わっていくのか、考えていくことだろう。神戸の経験が、プラスマイナスの分も含めて、活かしていければいいのだが。

■7月24日

市議汚職究明 幕引きを許さぬ
 元町街頭で、市民団体訴える


 元神戸市議村岡功被告と、長男の市議村岡龍男被告が関わった汚職事件の全容解明を訴え、市民団体「神戸再生フォーラム」が23日、元町で街頭活動をした。「市会与党(自民・公明・民主)真相究明の幕引きを図ろうとしている事態を。市民の取り組みで打開しよう」とメンバーや野党市議ら約20人が、買い物客らに訴えた。矢田市長に対しても「自分の責任を認め、真実を話すべき」などと求めた。(7月24日 神戸新聞)

 
従来より、汚職事件の全容解明、というのは、なかなかにわからないように処理されてしまう。裁判で結審すれば、それで一件落着。よほど、一匹狼のジャーナリストが執拗に追いかけない限り、推定ですらできないことになってしまう。関係者が真実を話したとして、真実かどうかの査定が困難だから、廻りから多面的に補足しなければならない。それには時間がかかる。
 地元のマスメディアに本気で解明する力があるか、と問われれば、それもまた、疑問符がつきまとう。
 今の野党議員も全力をあげているのだろうが、公的立場ではない、その意味では、失うものを持たない市民団体が一番ねちっこくやっていけるのかもしれない。

■7月13日

 
神戸市議汚職 村岡親子、地検が追起訴 
 収賄計4300万円 捜査終了


 神戸市の産業廃棄物処理施設をめぐる汚職事件で、神戸地検特別刑事部は11日、元神戸市議村岡功容疑者と、長男で同市儀の辰男容疑者を斡旋収賄罪で追起訴した。一連の汚職事件で、02年4月から数回にわたり、市環境局長らに、大阪府の大手産廃界会社の進出に許可を与えないよう要求し、その見返りとして、二人が受け取った賄賂の総額は4300万円に上る。(7月12日 神戸新聞)

 
村岡親子の個別事件ではないことは、もはや周知のことだろう。行政、市議会が今後、どのような改革案でもって、防止策を講じるのかまださだかではない。   議会特別委員会でも与野党で対立しているし、法令順守条例案をめぐっては市と議会が対立している。根本的なところでは責任があるはずの市長はもっぱら高みの見物か?

■7月4日

国体にあわせ「震災記録展」 寅さん、ゆかりの地を紹介
 神戸学院大生、長田区職員連携の資料室 資料や写真を公開


 のじぎく兵庫国体で神戸に訪れる人らに阪神・淡路大震災について知ってもらおうと、国体が開幕する9月30日から、長田区の県立文化体育館などで、「阪神淡路大震災の記録展」が開かれる。神戸学院大学の学生が、長田区役所の職員らと連携して内容を検討。震災の年に長田でロケがあった映画「男はつらいよ」シリーズに焦点をあて、「寅さん長田に帰る」と題してポスターなどを展示する。(7月4日 神戸新聞)

 
長田区役所職員有志が運営する「人・街・ながた震災資料室」が保存している資料や写真、品物などを公開する予定だが、関わる学生たち17人は、映画「寅次郎紅の花」に登場する場所等を紹介する地図を制作する、という。広く市民にも関連する資料等があれば提供してほしい、ということだ。問いあわせは長田区役所まで(579-2311)

■6月26日

高齢者の「食」支援 孤立防ぐ活動に課題
 ふれあい喫茶 住民支え合いに限界/食事会 ボランティア高齢化
 配食 廃止の団体も


 阪神・淡路大震災後、高齢者支援、コミュニティづくりを目的に、仮設住宅などで盛んになった「ふれあい喫茶」や「給食・配食サービス」。「食」を通じて孤立を防ぐ取り組みは、復興住宅などで受け継がれている。新たな展開を見据えて活動するケースがある一方、担い手となるボランティアの高齢化、運営費の確保等が各地で課題となっている。(6月25日 神戸新聞)

 
ふれあい喫茶の場合、全体の高齢化に加え、一人暮らしの高齢者が増えれば、住民だけで支え合うのは無理なので、NPO法人や大学生など外部のボランティアが支えざるをえないのが現状だ。それが食事会や配食サービスとなるとボランティア自体の高齢化が進んだり、行政の助成がなくなったりで、後継するのがむずかしくなってきている。
 年々進む高齢化、じわじわと寄せてくる波に対応するに、ボランティアまかせはないだろうと思うが、これも行政の効率化のなかで埋もれていくのだろうか。

■6月13日

 
ジャワ島地震 学校の被害が甚大 神戸のNPOスタッフ帰国
 子どもの心には傷


 インドネシア・ジャワ島中部地震の被災地に派遣されていたNPO法人「CODE海外災害援助市民センター」のスタッフ2人が12日、帰国した。吉椿雅道さんは、「住宅に加え、学校の多くが倒壊、子どもたちはテントを貼った『青空教室』で授業を受けている。放心状態となったり、小さな余震に脅えたりする子もいる」とし、トラウマケアの必要性を指摘した。(6月13日 神戸新聞)

 
これに加え、伝統産業(農業、バテック、陶芸など)が大打撃を被っている。中長期的な復興支援のために何ができるのか、CODEは20日午後6時半から神戸YMCA会館(中央区加納町2)で報告会を開く予定だ。078-578-7744
 募金は郵便振替口座00930-0-330509(加入者名:CODE 通信欄に「ジャワ島中部地震」と記入する)

■6月5日

県内被災地、公立小中学校の耐震化進む

 兵庫県内の公立小中学校は、阪神・淡路大震災による財政難で遅れていた神戸、阪神地域での取り組みが進み、前年からの耐震化率伸び率が5.3%と全国で5番目の高さとなった。耐震診断実施率も全国平均を上回り、神戸、三田、豊岡、淡路市など11市町で100%を達成した。(6月3日 神戸新聞)

 
新耐震基準が導入された1982年以降の建物を含む耐震化率は54.6%。一方で1981年以前に建てられた校舎や体育館の耐震化診断率は73.7%。耐震化診断率を今年中に100%に達するようにしたい、と県教育委員会は言う。
 全国的には、30%以上が財政難を理由に診断していない。文部科学省は「費用はわずか。首長らの安全意識を高めたい」と呼びかける。
 耐震化率80%を越えているのは神奈川県、静岡県というのは納得だが、診断率が新潟県で上昇しているのに、福岡県は一向に上がっていない。同じ被災県なんのにこの落差、島嶼部限定だっから、というのではあまりにもお粗末だ。

■5月28日

 
震災被害ようやく確定 評価基準なく 作業手探り
 災害の教訓伝える責務も 消防庁と兵庫県


 消防庁と兵庫県は、阪神・淡路大震災の被害状況を、発生から11年4ヶ月を経て、ようやく確定させた。兵庫県内の全域に広がった住宅被害は。地震の揺れのすさまじさや耐震化の必要性をあらためて示した。一方、巨大被害の教訓は後世に伝えていかなければならないが、被害の実態をどう評価するのか、明確な基準はなく、手探りの確定作業が続いた。(5月26日 神戸新聞)

 
例えば、住宅の一部損壊は、05年3月まで税制の優遇措置が続いて罹災証明書の新規発行可能性があったため、神戸市等の棟数が計上されていなかったが、再調査の結果、126804棟が増え、全壊・半壊を合わせると639686棟になった。今なお行方不明者は3人、である。どこかで線引きしなければ統計としては確定しないため、一旦ここで確定したというわけである。消防庁は、追加すべき状況が現出すれば、ただし書きとして対応する、としている。
 一つ一つの数字に、それぞれの物語と記憶がある。それを語りつぐ人がいる限り、どこかでそれを受け継いでくれる人がいるはずだ。細いかもしれないけれども、それが絆だろう

■5月26日

 
神戸市議汚職 市が口利き文書を公開 「断りなくけしからん」
 村岡功被告の具体発言記載


 神戸市議村岡功被告の汚職事件で、神戸市は26日、同被告が市の外郭団体「神戸港埠頭公社」に再開発コンペの参加業者を紹介していたことを示す「口利き文書」を公表した。同被告が公社幹部に「急いでいるので8月にも契約したい」と要求するなど、具体的なやりとりが記載されていた。市が口利きについての文書を公表したのは初めて。
 ポートアイアランド・コンテナバース跡地の業務用施設ゾーンについては、コンペ前の04年7月に二回にわたって、公社幹部ら二人が村岡被告を訪問。同被告は一回目の訪問で自動車学校を経営する業車を紹介、二回目には「(自分に)断りなく社長に面会することはけしからん」「(業者が)急いでいるので、8月にも売買契約をしたい(購入する土地の)面積は五千坪」と要求した。(5月26日 神戸新聞)

 
いやあ、あからさまですねえ。
 たぶん、うちの事務所の前の歩道橋から西に見える自動車学校、でせう。今年3月末にはオープンした、と聞くが、はたしてどうなんだろう? あまり自動車が橋ているところや、生徒さんが出入りしているのを見たことはない。
 
ま、開いた口がふさがらないので、どうでもいいけど、ね。

■5月7日

 隠す行政、つけこむ議員「口利き」根深い病巣
 「改革は、トップ次第」 神戸市議逮捕1ヶ月
 大平光代・元大阪市助役に聞く


 一連の汚職事件は行政に介入する議員の「口利き」が焦点となっている。口利き問題をめぐる議会との対決から、昨秋、大阪市助役を辞任した弁護士の大平光代さんがインタビューに応じ、「大阪と構造は同じ、非常に根深い問題」と述べた。神戸市が「圧力はなかった」とする姿勢を疑問視し、「自浄能力を見せていない」と指摘した。(5月5日 神戸新聞)

 
要は「市長が変わるなければ何も変わらない」。「変わる」と「代わる」では大違い。記事では、現職の変身があれば、まだ可能性はある、という意味合いだし、大平さんが「代わる」という意味で述べたのなら、「辞任を薦める」という意味合いになる。大阪市の関市長の例を見れば、真意は前者のようであるが、矢田市長は「職員に責任なし」という立場なので、今のところ「変わる」つもりなないようだ。

■5月1日

 
神戸市議汚職 市役所秘書室を捜索
 神戸地検 関係資料を押収 


 神戸市資源リサイクルセンターをめぐる汚職事件で、斡旋収賄容疑で再逮捕された神戸市議の村岡功容疑者が、同市職員に圧力をかけて委託先を変更させたとする容疑を裏付けるため、神戸地検特別刑事部は1日朝から、神戸市役所の秘書室や同センターなど関係先を家宅捜索した。特別刑事部は、矢田立郎市長や助役らの関係資料などを押収し、詰めの捜査をすすめるようだ。(5月1日 神戸新聞)

 
毎日、次から次へと経緯を調べるための捜査の進展が見られるため、ニュースが引きも切らない。秘書室は市長の窓口、いわば首長の中枢といってよい。市長の責任はまぬかれまい。
 どこまで続くぬかるみぞ、というところだ。

■4月29日

 
神戸市議汚職 村岡容疑者ら再逮捕
 斡旋収賄容疑 暗に賄賂を要求 
 委託先変更 矢田神戸市長も了承


 神戸市資源リサイクルセンターの管理・運営先をめぐり、神戸市職員に圧力をかけて委託先を変更させたとして、神戸地検特別刑事部は28日、神戸市議村岡功容疑者を斡旋収賄容疑で、産廃処理会社「大本紙料」元写真長、大本明秀容疑者を贈賄容疑で再逮捕した。村岡容疑者「気持ちだけでいい」などと暗に賄賂を要求し、大本容疑者が200万円を手渡したという。(4月29日 神戸新聞)

 
市の環境局長は「圧力ではないが、(村岡団長に)理解してもらえなかったので、予算が通らないと困る」と思い、管理・運営先の変更につながったと言う。
 自民党の他の市議の自宅や事務所へ捜索も波及した。まだまだ、真相解明には時間もかかりそうだが、疑惑の徹底追及を望む市民の声は大きくなっている。
 福祉畑の市長だけに、その責任を問う声も、もちろん高まると思われる。

■4月26日

 
神戸市職員 不正を認識 神戸地検聴取に供述
 市議汚職事件 村岡容疑者ら起訴


 産業廃棄物処理施設の設置認可をめぐり神戸市の要綱が改正された汚職事件で、神戸市議・村岡功容疑者の圧力を受けた市環境局職員が神戸地検特別刑事部の調べに対し、「村岡容疑者の意図がわかっていた」などと、要綱の改正は裁量権を逸脱し、不正と認識する供述をしていたことが25日、わかった。これまで神戸市は「不正はなかった」とし、職員の関与を否定していた。
 ただ、特別刑事部は、市職員については「違法な行為とは認定していない」と立件は見送る方針。(4月26日 神戸新聞)

■4月16日

 村岡市議汚職 疑惑全容解明へ怒り結集
 市民団体 動き活発化


 斡旋収賄の疑いで逮捕された事件をめぐって、自民団体の動きが活発化し始めている。相次ぐ疑惑の浮上に捜査の同校を見守っていた各団体だが、臨時市会の開催や、逮捕後初の市長会見など市当局側の動きに対応する形で始動。真相究明に向けて市民の関心を高めていくため、それぞれに該当での訴えや緊急集会などで問題点を指摘していく。(神戸新聞 4月16日)

 矢田市長は「市職員に不正はない」と記者会見で断言した。しかし、今回の事件での緊急会見ではなく、定例記者会見での発表である。市としては、それほど、重大な瑕疵があったとは考えていないようだ。
 一方で、市民団体が動き始めた。「ミナト神戸を守る会」は該当での訴え、「神戸再生フォーラム」は、緊急集会の開催、「新しい神戸をつくる市民の会」は、市会(4月下旬予定)や特別委員会(5月連休あけ頃)の傍聴に参加を、と訴える。
 市当局に圧力をかけ、当局は圧力を受けて意のままにしたかどうか、いわば「あうんの呼吸」の世界は限りなく黒い疑惑につつまれているようだ。

■4月12日

 
村岡容疑者 19年間、本会議で質問ゼロ
 舞台裏に専念、浮き彫り 「議会は看過」 批判と反省


 神戸市の産廃処理施設をめぐる汚職事件で、市議の村岡功容疑者が逮捕されてから12日で一週間。同容疑者は、記録が残る過去19年間、市会本会議で一度も質問に立っていないことがわかった。一方で、密室での市当局への働きかけは常態化していたといい、市民に見えない舞台裏で「影響力」を培ってきた実態が浮かびあがる。ほかの公共事業でも同容疑者が市当局に圧力をかけていた疑惑が次々と明らかになっており、市民らは「それを許してきた議会の体質も問題だ」と批判している。(神戸新聞 4月12日)

 野党市議の林英夫氏(一期目 元・ニュースキャスター 建設水道常任委員会所属)は、自身の口利き経験から、『うわさには聞いていたが、市議に頼んで成果が出たら「謝礼」を、というしきたりが浸透している』とコメント。懐柔と恫喝が横行する市議会の体質を変えるチャンスと見ている。
 しかし、市議会全体が自浄能力があるかどうかはまだまだわからない。最大会派自民党は22人、与党は圧倒的多数を制している。野党会派は与党に遠く及ばないのが現実。地元マスメディアの執拗な追及姿勢が望まれる。

■4月8日

 
ごみ収集にも圧力 他業者から不満噴出
 「村岡王国」崩壊、始まる 参入4社業務返上を表明


 「村岡の力を借りて参入したんやろ」 産業廃棄物処理業者との汚職事件で、神戸市議の村岡功容疑者(68)が逮捕された翌日の6日、今春から家庭ごみの収集に参入した4社は「傭車(ようしゃ)*」の返上を申し出た。新規参入からわずか3日。「村岡王国」の崩壊が始まった。(神戸新聞 4月7日)

 ついに、逮捕された。限りなく黒に近いと思われ続けてきた議員である。風聞ではあってもそのイメージだけは我々にも伝わっていた。しかし、中央区の選挙では落ちなかった。選挙民にとっては、情けない話である。
 政治的思惑や理想があれば、市議から県議へ、さらには国会へ、と行きそうなものだが、それは選ばず、ひたすら市議の重鎮として、当選回数を重ね、理念で語ることも無く、ひたすら実績を積み上げ、対抗勢力を追い落としていく。影の市長と呼ばれていたそうだが、確かにそうだったのだろう。
 日経では、神戸空港のターミナルビルの景観設計の失敗に、矢田市長を「どなりつけていた」と報じられる始末ではあった。

■3月31日

 防災─実行力と知恵を
 来月、震災研究機構設立へ 安全・安心で議論
 シンポジウムに400人が参加


 (財)阪神・淡路大震災記念協会と21世紀ヒューマンケア研究機構が4月に統合してできるシンクタンク「ひょうご震災記念21世紀研究機構」の設立記念シンポジウムが24日、中央区のラッセホールであった。幅広い観点から21世紀の写真会のあり方を考えた。
 五百旗部真・神戸大学教授や酒井啓子・東京外大大学院教授らが「21世紀の安全・安心」をテーマに討論、酒井教授はイラク情勢にふれ、「日本は中東のテロも無縁ではなく、世界規模の人災を防ぐことも考えなければならない」と述べた。(神戸新聞 3月25日)

 戦争は人災の最たるもので、にもかかわらず、世界のあちこちで勃発している。過去60年にわたって、戦争で死者を出さなかった唯一の経済大国が、これからは、経済大国でもなく、政治大国でもなく、二流の国でいいから、きちんと世界のなかで役割を果たせる国として生き延びる、そのためにあらためて「憲法9条」を残すことの大切さを世界に訴えられるかどうか? が試されている。

■3月26日

 
里山や果樹園で長田区再生
 計画づくり アメリカの学生が参加


 アメリカ・シアトルのワシントン大学の学生10人が25日、神戸大学の学生らと共同で、震災後に人口や経済の低迷が続く神戸市長田区の再活性案を作成した。一行は19日に来日、同区の御蔵、真陽、高取山の3地区を歩いて調査した。
 このうち高取山地区については「急な斜面で地滑りの危険が高い」「道幅が狭い」「高齢化が進んだ」と分析。麓に里山を再生させる計画を立て、地区を通る2本の水路の間を果樹園にし、地域の人の憩いの場を兼ねる計画を提案した。(朝日新聞 3月26日)

 地域の人たちにすぐ提案が受け入れられるとは思わないが、地元の神戸大学の学生との共同提案なので、今後の展開がどうなるか、メディアは追跡してもらいたい。このようなまちづくりの研究の蓄積が、行政主導からの脱却に繋がっていくのだろう。

■3月17日

歩み10年 出会いに感謝「カフェ ナフシャ」 明日閉店
 幅広い客層 社会派イベント 震災を機に開店「気持ちに区切り」


 兵庫区永沢町4のカフェ「ナフシャ」が12日、10年の歴史に幕を下ろす。阪神・淡路大震災の体験をきっかけに、バリアフリーのカフェとして開店。誰もが気軽に入れる温かい雰囲気と、社会問題を扱ったイベントの魅力にひかれて、幅広い層が集った。惜しまれつつの閉店に生頼(おうらい)麻里店長は「世代や思考といった『心のバリア』を取払い、多くの人が来てくれた。出会いに感謝したい」と話す。(神戸新聞 3月11日)

 10年の間に何度訪れただろうか。存在感のある店だった。新開地という場所柄、常連にはならなかったけれど、ユニークな拠点が一つ消えた。
 しかし、ここも記憶に残る「場」として、ずっと現前していくことだろう。生頼さんの次ぎなるステップに幸あれと期待したい。

■3月13日

 震災10年 語り継ぐ朗読劇 18・19日神戸で上演
 公募の19人が「痛み」を表現
 みんなよくがんばった、と上長だけでは流せない


  阪神大震災から10年の節目を迎えた被災者の姿を、老若男女の独白の形をとった詩で描く朗読劇「六十年目の戦場・神戸 記憶と記録」が18・19日、神戸市兵庫区新開地の神戸アートビレッジセンターで上演される。作者は10年前に上演された「五十年目の戦場・神戸」と同じ、詩人の車木蓉子さん(須磨区)。「敗戦から60年、みんなよくがんばった、と情緒だけで流すことができない状況と改めて向かい合ってほしい」と願う。
 企画した「神戸をほんまの文化都市にする会」からの依頼に、「10年の区切りになんの意味があるのだろう」と車木さんは最初、気がすすまなかったという。重い腰をあげたきっかけは「被災直後の助け合いが消え、ふっきれないものが心の底にたまって希望がない」との思いだった。2年かけて100人以上の被災者に話を聞いた。急激に変貌を遂げた町についていけない市民の姿がそこにあった。(朝日新聞 3月8日)

 
応募した学生の一人は「聞く人に解釈を押しつけないよう、今は事実を明確に伝えたい」と言う。
 関東大震災や戦災の記録を交えながら、事実が掘り起こされて行く。歴史は螺旋状であったり、行きつ戻りつしながら、積み重ねられていく。脚色されないで語り継ぐことの困難をふまえながら、地道な表現が繰り返されていくことを期待したい。

■3月6日
 
 
緊急災害救助庁をつくれないか
 最大の脅威に備え 戦略的な組織必要 首相直属機関にする
 陸・海・空に重装備隊を


 災害救助隊は、陸海空にわたって災害復興用の重装備をもつ。〈略〉大型輸送機やヘリコプター、緊急避難所を兼ねた輸送船、医療救助隊、救助犬など、災害軽減に必要なすべての装備と人員を整備する。原子炉や石油タンクの大事故などには特殊な装備が必要だ。
 莫大な予算に非現実的と言われようが、自衛隊に比べれば安いものだ。一機100億円以上もする戦闘機、哨戒機等の費用を考えれば、空の救助隊の編成は容易である。軍事費に比べれば、災害救助隊の予算化はしれたものだ。先の東京・横浜の地震予測では、被害額は111兆円という。救助隊の活動で10%も軽減できれば、そのお金で災害救助庁の新設におつりがくる。
 防衛庁を省にという声がある。その愚をやめ、直接国民生活と国土を守り、安全安心を与える災害救助庁の早急な実現を期待したい。(河合雅雄 客員論説委員/神戸新聞 3月4日)

 
世界有数の天災国ニッポン。自然災害のオンパレードだ。中央防災会議の被害中間報告によれば、東京湾北部直下のプレート境界でM7.3の地震が発生すると、全壊20万戸、火災焼失65万戸、11000人の死者、帰宅困難者650万人、という数字が出ている。もちろん、それでも甘い予測という声がある。
 政府においては、専守防衛に徹する自衛隊が不必要な増強に走ることなく、災害救助との連携ができるように、かかる提案は理想論だとうっちゃることなく、真剣に考えていただだきたい。

■2月19日

 
カトリーナ被災者のホテル宿泊費
 国の負担は不要 連邦地裁判決 数千世帯ホームレス化も


 米国ルイジアナ州ニューオーリンズの連邦地裁は13日、昨年8月に上陸したハリケーン「カトリーナ」で自宅を失い、ホテル住まいを続けている市民約12000世帯の宿泊代について、連邦緊急事態管理局(FEMA)がこれ以上負担する必要はないと決定した。
 ホテル暮らしをしていた黒人低所得者らの被災者は同日、ホテルを順次後にしはじめ、新たな帯在先探しを余儀なくされた。
 FEMAによると、被災後、ホテル代の支払いは5億4200万$(約636億円)を上回った。
 米国政府は決定が確定すれば8000〜10000世帯の市民が全米のホテルから退去を余儀なくされるとみている。
 FEMAはホテルを後にした被災者の多くが滞在先を確保したとしているが、乳飲み子を抱えた21歳の母親はAP通信に「行くあてなんてないわよ」と憤懣をぶちまけた。(共同通信 2月14日)

 
次から次ぎに起きる災害、今度はレイテ島地崩れだ。先の太平洋戦争で日本軍が苛烈な闘いを強いられた舞台である。
 一般的には半年前のカトリーナですら、はや忘却の彼方、である。
 ニューオーリンズのカーニバル「マルディグラ」は今年も開催されているが、フロートは大幅に減少している。環境客を期待するのはよくわかるけれども、一方で、取り残された被災者に対するケアについては、社会保障の手厚くない米国の市民社会の現実を暴き出した。
 これが世界ナンバー1帝国の自由民主主義の姿である。

■2月12日

 神戸空港、市民グループ学習会
 現役機長が問題点指摘

 
開港を目前にした神戸空港の問題点を考える学習会「パイロットから見た神戸空港」が11日、神戸市垂水区で開かれた。
 航空安全推進連絡会議(航空関連労組で結成)の大阪支部前議長、森徹次さん(国際線・国内線のジャンボジェット機長)が講師をつとめた。
 森さんは「神戸空港は気象条件が厳しく、空域の狭さも不安。できれば着陸したくない」「六甲山から吹く六甲おろしが、飛行機の苦手とする横風になる可能性がある。『山岳波』と呼ばれる乱気流も起こり安いのでは?」「悪天候時に着陸をやりなおすと遅れが生じ、関西空港や伊丹空港の便に接近しやすくなる。地形に不慣れな外国機が、関空と見間違えて神戸に着陸しようとすることも考えられる」などと指摘した。(神戸新聞 2月12日)

 
開港が迫ってきて、地元紙「神戸新聞」の空港関連記事を見ていると、空港歓迎という立場からの記事が圧倒的に多く、空港反対や懐疑をいだく層の声は相対的に小さく感じられる。これも、もはや多くの市民が歓迎しているから、という理由づけがされるのであろうが、ただ現状を追認しているだけという見方もできる。
 現役機長の感じている問題点は、労組に所属している機長だからという視点ではなく、プロとしての安全性への危惧から発せられていると思いたい。
 してみると、大方の市民は安全性については担保されているから、歓迎しているわけで、その大前提が崩れるとは思っていない。
 開港決定以前なら反対ではあっても、「できてしまった以上、活用を考える」というのがふつうの市民の大勢であるように思えるが、彼らにしても「事故が起こりやすい」とは考えてはいまい。
 私は、起こりうる危険回避のために、パイロットが慎重になって、遅延が当たり前になるような予感がするのだが、杞憂であることを祈るばかり。もちろん、空港賛成派だからといって、事故等起こってほしくないのは当然だ。

■2月8日

「震災復興基金」存続へ 解散方針を兵庫県が転換
 高齢者支援など対応


 震災被災者の生活再建や産業復興などを支える(財)阪神・淡路大震災復興基金(理事長・井戸敏三兵庫県知事 基本財産200億円は県と神戸市が出資)について、兵庫県は6日までに、本年度末で解散する従来の方針を転換し、法人を存続させる方向で検討を始めた。高齢者支援など一部事業を延長、財団が被告となっている訴訟が係争中であることなどから判断した。創設当初の予測を超え、被災地の課題が長期化している現実を物語っている。(神戸新聞 2月6日)

 
復興基金は被災者の住宅・生活再建、産業やボランティア活動支援等、税金では扱いにくい113事業を行ってきたのだが、借入金8800億円(すでに5800億円は返済、残額も3月に返済予定)の返済期限が来ることから、残務事業は県の外郭団体に引き継がせる予定だった。
 しかし、高齢者の自立支援や市街地の再生等残された問題があり、また40億円の残余がわかり、22事業について5年間、受付を延長。さらに被災者自立支援金をめぐる訴訟も係争中。
 要するに、10年経てば終わるだろう、また終えると考えていたのだが、予定以上に引きずっている、ということなのである。今の窮状は震災のせいばかりとはいえないのだが、この決定、復興基金の有効利用を切に望んでいる人々にとっては朗報なのだろうが、その網にかからなかった人々にとっては、関係ないことである。さて、この一件、知事の一声で決まったのかどうか?

■1月31日

震災障害者 知って 7人、悩み語り合う 
 灘区の女性「病弱な人への支援訴えたくて」須磨区の女性「ため込んでいたもの出せた」
 神戸大学・岩崎教授の呼びかけ、初の集い


 阪神大震災が原因で障害者になった被災者や家族らが共に支え合う場をつくろうと、初めての集いが21日、六甲勤労市民センター(灘区)で開かれた。神戸大の岩崎信彦教授の呼びかけに応えて7人が参加し、被災体験や悩みを語りあった。震災による障害者の数や実態は十分に把握されておらず、岩崎教授は今後、支援策についても検討するという。震災から11年が過ぎて新たな取り組みが始まる。
 「今日出会った人たちは、11年間、自分だけで障害と向き合ってきていた。やはり震災障害者はおられたんですね」(北区の城戸美智子さん)  
(朝日新聞 1月22日)

 
兵庫県は明確な統計がない、という。一人一人の障害事情が違うこともあって、すぐには具体策はできないだろうが、まずは第一歩が始まったと言える。
 この日、東京でなければ出席する予定だった。今後の歩みについていきたいと思う。

■1月23日

 震災復興区画整理なお難航 淡路市、強制手続き 地権者に公告

 阪神大震災の復興事業として進められている淡路島の富島地区土地区画整理事業(旧北淡町)で、事業主体の淡路市が地権者所有地の塀や植栽などの撤去(2月6日までに自ら撤去するようにとの公告)など強制手続きを進めていることが16日、明らかになった。復興区画整理で強制手続き(直接施行)が採られれば、初めての事態になる。
 復興区画整理を巡っては芦屋市で直接施行寸前までいったことがあるが、土壇場で回避され、実施されたことはない。震災後11年を経て、区画整理はなお行政と地権者の対立が根深いことを象徴している。(日経新聞 1月17日)

 
市は換地指定(土地の交換)はしたものの、地権者側が照応の原則(他の地権者と平等)に反しているとして自ら撤去はしない構えで対立しているのだが、過疎と高齢がすでに実現している冨島地区の現場を見れば、いくら防災・復興対策とはいえ、そもそも区画整理という手法が合致しているのか疑問がないとはいえない。
 2月6日までにどのような展開になるのか、今となっては実に悩ましい問題だ。

■1月13日

 レンガの家に荷造りヒモ 震度5強に耐えた

 荷造りひもで耐震補強──世界の約6割の人々が住むれんがや石積みの建物を、各国で手に入るポリプロピレン製の安いひもで補強できることを、東京大学生産技術研究所の目黒公郎教授らが実物大の建物模型を使った実験で証明した。補強にかかる材料費は1棟数千円で、途上国の地震被害軽減に役立てたいとしている。   目黒さんらは、荷造りひもを網状にしてれんがを覆い、壁を一体化する補強法を考案。東急建設技術研究所の振動台で実験した。「補強なし」の実物大模型は震度5弱で倒壊、これに対し「補強あり」は多数のひびが入ったものの震度5強でも倒れなかった。続けて実施した震度6弱では倒れた。
「どこから倒れるかわかったので、補強法を工夫してさらに強くできる。来年、パキスタンの被災地で実験する予定だ」と目黒さん。(朝日新聞 1月13日)

 
こいつは春から久し振りにグッドニュース。コストがかけられないとされる多くの国々で適用されるはずだ。さらに実験を重ねて、まさに日本人の知恵が国際貢献できるという証左になってほしい。

■2006年1月6日

「白いリボン」募金 スタート

 阪神大震災の犠牲者を追悼するため、白いリボンをつける「白いリボン」運動の募金活動が6日、神戸・三宮で始まった。「ゆっくり着実に」の意味を込め、カタツムリの形に丸めた白いリボンを100円以上の募金と引き換えに渡す。
 震災があった1月に白いリボンやハンカチを着用する運動は96年、関西学院大(西宮市)の学生らが始めた。その後、いったん休止されたが、震災10年の節目の昨年、NPO活動を支える民間募金として再スタートした。今年も1月末まで街頭で呼びかける。(朝日新聞 1月6日)

 
White Ribbon for Volunteer NPO NGO activity
 祈念・感謝・創生 ふだんから支え合い、助けあう社会を!
 毎年1月は「白いリボン運動月間」です。

 以上は、白いリボン運動全国実行委員会(http://www.white-ribbon.net/代表・岡本仁宏 関西学院大学教授 078-854-6450)のキャッチフレーズである。昨今、ほんの一部のNPOに名を借りた不祥事がメディアで報道され、このような活動自体に疑義をもつ人々もいる。しかし、震災10年を経て、さまざまな助成や補助が削減されていくなかで、市民が市民を支えていくしくみが根付かなければ、市民の力のひろがりと確実性が失われていく。
 この実行委員会を構成するメンバーはほとんどが震災以降、ずっと被災者支援活動を行ってきた信頼できる団体である。
 ぜひ、街頭で遭遇したときには募金に参加していただきたい。

■12月24日

 震災障害者のネットワーク呼びかけ
 「支援する会」発足へ


 阪神・淡路大震災から11年がたっても実態がわかっていない「震災障害者」のネットワークをつくろうと、神戸大学の岩崎信彦教授らが来年一月「支援する会」を発足させる。
 県のまとめでは、震災による負傷者は40092人。このうち重傷者は10494人。だが、治療後に後遺症や障害が残った一の数はわかっていない。60人が県の災害障害者見舞金を受給しおているが、対象は両目失明、両足切断等最重度の一に限られている。
 阪大医学部の調査では、震災後、長期入院した549人のうち71人が障害認定を受けていた。
 岩崎教授は「今も障害と闘っている人の不安は強まり、経済的な困窮も続いている。横のつながりをつくり、家族の把握や行政への要望、雇用や介助など具体的な支援策につなげたい」と話す。
「震災障害者と家族のつどい」は1月21日午後1時半から六甲道勤労市民センター(灘区)で。問い合わせ:岩崎研究室078-803-5513(神戸新聞 12月23日)

 
本誌にもご家族の切実な声をいただいている(論々神戸第46号)。後遺症や重大な障害が残った人たちをさがすのはこれからということになる。この記事など(朝日新聞にも掲載)がきっかけになって、まずは調査が始まり、実態の解明と支援につながることを期待したい。

■12月19日

 航空機固定資産税使途 「路線誘致だけ」
 神戸市長 起債償還に当てぬ


 神戸空港建設に市税を投入しない、とした市会決議をめぐり矢田立郎神戸市長は21日、神戸新聞のインタビューに応じ、焦点となっている航空機固定資産税の使途について、空港建設に要した起債の償還には充てないことを改めて表明。一方、着陸料の減免などによる新規路線の誘致の財源に充てることは可能との考えを示した。20日の市会特別委員会で、起債償還に市税である同税を投入することについて市幹部が「決議に反しない」との見解を示したが、市長は「将来、着陸料減免などの対応が必要になったときだけ」と重ねて打ち消した。市長は13日の市会委員会で同税を空港管理に使うことは「市会決議に抵触しない」との考えを示している。(神戸新聞 12月22日)

 
なんだかマッチポンプのようですね。少しずつ小出しにして、反応を見ながら、反発が少なそうだっら強行突破、がたがたしそうだったら、できるだけ伸ばして、にっちもさっちも行かなくなったときには市民の理解を求める、という具合に。
 それしても、この記者はなぜもっと突っ込まないんだろう、市長は確かにこうしゃべった事実だろうが、これでは、単なる市長の広報担当者ではありませぬか。歯がゆいですね。

■12月11日

 震災11年 民間追悼行事 四割減少 節目超えて多様化も

 阪神・淡路大震災から丸11年を迎える2006年1月を中心に、市民団体などが開催を予定する民間レベルの追悼関連行事は、10年の節目だった今年に比べ約4割(今年101件、来年62件 新規は4件)減っていることが9日、「市民による追悼行事を考える会」(事務局 神戸市中央区)のまとめでわかった。
 一方、行事ではないが、1月17日正午に黙祷を呼びかける商店街やスーパーなどは575件、汽笛を鳴らす船舶は38隻、鐘を鳴らす寺院や教会は168ヶ所でいずれも今年並みになる。(神戸新聞 12月10日)

 
やはり10年は一つの峠。少し下り坂になるのは自然だろう。そして、次の10年の峠の高さは低めになる。東灘区の区民の四分の一は震災を知らないことでもわかるように、当事者が相対的に減少していくのだから、道理である。
 量が質を担保する時期は過ぎて、質が試される時間帯に入っていきそうである。

■11月27日

 災害対策に”女性の視点” 
 避難所で着替え場所、トイレの確保…… 国、自治体で防災計画見直し
 阪神・淡路でも課題に 意思決定に参画を


 
大地震などの災害対策に「女性の視点」を盛り込む動きが進んでいる。自治体の防災担当者や研究者は男性が中心だが、災害時には避難所での着替え場所やトイレの確保など、女性にとって切実な問題が多い。新潟県中越地震では、内閣府男女共同参画局の職員が初めて、避難所の状況等を調査。今年7月には、国の防災計画に「女性の参画」が盛り込まれ、一部自治体も地域防災計画の見直しを始めている。(11月27日 神戸新聞)
 
 男女のニーズの違いに配慮した避難所運営など、当然のことだと思うのだが、まだまだこれからというところ。
 先だって「防災フォーラム」を開催した「ウイメンズネット・こうべ」(正井礼子代表)は、自ら作成した資料集のなかで「自治体の防災担当部署や地域防災計画の内容を検討する防災会議に、女性メンバーがほとんどいない」と指摘しうている。ちなみに兵庫県は防災会議45人のメンバーに女性は一人もいない。
 審議会における女性委員の存在にしても、意見を聞くというのではなく、女性が意思決定の場に参画することが重要と同代表は言う。
 10年にもなるのに、という思いがある。公務員や研究者の大半が男性であることはしかたがないにしても、この間、若い研究者においては女性が増えてきたようにも思えるのだが……。メンバーには実績たら、肩書きのバランスとか、いかにも男社会の法則が働いているに違いない。

■11月23日

 震災11年「1.17のつどい」継続へ 
 市民団体や神戸市が確認 補助金が減り、厳しい運営


 
神戸市や市民団体などが中央区の東遊園地で開いてきた阪神・淡路大震災の追悼行事「1.17のつどい」の検討会が開かれ、震災11年を迎える来年1月17日も継続開催することを決めた。しかし、震災復興基金の補助金が打ち切られ、規模の縮小も含めた厳しい運営を迫られている。
 これまでは神戸市と同基金から計600万円の補助を受けていたが、同基金の補助金300万円は震災10年で終了した。市の補助金だけでは会場のテント設営や証明、音響の費用にも満たない。
 各団体でつどいの内容を協議し、12月中旬までに概要を決める。
(11月23日 神戸新聞)
 
 財政難にあえぐ神戸市の補助金にしたところで、圧力団体ではないこのような市民団体への支援は、いつまでも続くという保証はない。そうなれば、市などの補助金をあてにできなかった市民団体と同一の地点に立つことになる。いくら規模が小さくなろうが、続ける意思が固いかどうか、これからがある意味、ホントの勝負になる。

■11月17日

 兵庫県知事選啓発で選管追跡調査 「サトエリ」見た 9割、でも……
 投票意欲「3割」PR奏功せず 結局は候補、争点など中身次第


 
広告で投票は促せない…。過去最低の投票率(33.33%)となった七月の知事選挙で、啓発広告を見聞きした有権者は9割に達したものの、「投票に行こう」と思ったのは、3割にとどまったことが県選管の追跡調査で分かった。
 県が啓発効果の追跡調査を行うのは初めてで、啓発広告を請け負った広告会社などが実施。新商品モニター用に開発されたシステムを利用し、投票終了直後、県内の500人(20歳〜69歳)から回答を得た。
 啓発では、佐藤江梨子さんがテレビ CMやポスターに登場し、七三分けの髪形で「7・3できっぱり」と投票日をアピール。これらをいずれかで見たのは92%にのぼった。印象に残っている点は「佐藤江梨子」が最も高く、続いて「7 3」のデザインや投票日。好感度も4割程度あった。しかし、「広告を見て投票に行こう」と思ったのは、「非常に」と「やや」を合わせても30%どまりで、「行こうと思わなかった」の38%を下回った。
(11月11日 日経新聞)
 
 総額9000万円の経費をかけた今回の一連のキャンペーン。CMを制作したのは電通神戸支社。「広告接触率は高く、効果はあった」とするが、「投票を促すのは広告会社のできる範囲を超える」と苦笑。
 まあ、CMは良かったのだが、肝心の商品(候補者、争点など)に魅力がなかった、というところ。
 ワタシャ、サトエリなる者、よくは知らないが(別に知りたくもない)、世間では有名な御仁だそうで、にもかかわらず、投票率に寄与できないのだとすれば、サトエリ自身がホンキで兵庫県知事選挙に関心があるのならともかく、あえてそんな啓発やめれば、と言いたくもなる。これも民主主義のコストだ、なんて言ってられない。まして選管に関する人事コストの高歩留まりが指摘される昨今、広告会社にお願いして、人畜無害の広告を打つなんて愚行はやめるべきだろう。
 投票率アップのためのキャンペーンは、市民の自由意思にまかせておいてよい。それで低いのなら、その程度のものでしかないという現実をかみしめればよい。結果は、「選挙なんて」と思っている市民を含めて、全ての勢力にヤイバを向けている。

■11月11日

京都の伝統木造住宅「町家」 震度6弱でも倒壊せず 
 防災科学技術研究所、補強して実験


 
防災科学技術研究所は10日、京都の伝統的な二階建て木造住宅「町家」を世界最大の振動台で揺らす実験をした。地震に弱いとされる町家だが、縁側に壁を増やすなどの耐震補強をすることで、震度6弱の揺れでも倒壊しないことがわかった。
 兵庫県三木市に完成した「実大三次元振動破壊実験施設(E-diffence)」で実物の家を揺らした初の実験。
 今回は横揺れだけを2分間加えた。一階の部屋が20cmも横にずれ、外壁や玄関の板壁がはがれおちたが、骨組は耐震補強したおかげで持ちこたえた。京都大学の鈴木祥之教授は「今後はどの程度の揺れに耐えることができるのか検証していきたい」と話す。
(11月11日 日経新聞)
 
 この町家は1932年築。パネルやはしご型フレームを壁に取り付ける簡単な耐震補強をして実験された。結果、伝統工法の住宅でも、補強すれば十分に耐えられることがわかっただけでも朗報だ。ただ、この種のニュースで、この耐震補強にどれだけのコストをかけたのかを報じないと、してみたいと思う人々への目安がわからない。そこまで報道してほしいものである。

■11月1日
 
 
遊び学ぶ「大震災」双六 教訓を子どもらに 大型版で楽しんで
 版画家の岩田健三郎さん制作 人と防災未来センターで展示


 
阪神・淡路大震災の経験や防災の知恵を盛り込んだ「阪神淡路大震災双六」の展示が一日、人と防災未来センターで始まった。東灘区のボランティア団体「飛び廻り21」の依頼で、姫路市在住の版画家岩田健三郎さんが制作。会場では、市こまずつ拡大した大型の双六が楽しめる。
 飛び廻り21はコープこうべ生活文化センターに所蔵されている「絵双六」を出張展示。その中には関東大震災を題材にした作品もあることから、阪神・淡路の双六を企画した。
 地震発生から、神戸の街や人が描かれた「あがり」まで、20こま。途中には、水やラジオ等災害時の必需品も描かれている。岩田さんならではの温かみのある作品で、原作は新聞紙お広げた大きさとなっている。
「震災を遊びにしていいのかという思いはあったが、次に地震が起きたとき、子どもたちに役立てば」と岩田さん。飛び廻り21に古賀純子代表は「今後も学校や地域で展示したい」と話す。
(10月26日 神戸新聞)
 
 児童文学や絵本ではお馴染みの版画家・岩田健三郎氏のカラーがはっきりと出ている作品。双六という古典的な遊びで震災を子どもたちにわかりやすく描いてある。スタッフからは「お孫さんと遊んでくださいね」と言われてしまった。
 その他の絵双六も、江戸時代から昭和中期まで、実にていねいな描かれている版画が多く、職人仕事の鮮やかさを思わせてくれる。
 収集にはお金がかかるとのことで、今の経済情勢では、所蔵が増えるわけにはいかないそうだが、埋もれた名作はまだまだあるのではないだろうか? 庶民の遊びの中に豊穣な文化が残されている証明でもあった。

■10月27日

 安全守るシンポジウム 「個人処罰 意味なし」

 
尼崎JR脱線事故から半年を迎えた25日、脱線事故の原因究明を通して、公共交通機関の安全確立を求める「安全と命を守る大阪の集い」が大阪市内で開かれた。主催はJR西日本労働組合のほか、港湾や航空関係の労組などが主催。JR西日本の社外有識者組織、安全諮問委員会の石橋明委員(日本ヒューマンファクター研究所研究開発室長)が登壇。石橋氏は、「ヒューマンファクターからみた再発防止対策」と題して講演、「事故再発防止の観点に立てば個人の処罰は意味がない」し、人的要因の視点から「現場で起きるミスの背後要因を探求し、事故に至る状況の流れを解明しなければ、再発防止にはならない」と説いた。「海外の航空会社の理念は『定時出発よりも安全を優先する』。これこそ本物の安全文化だ」と紹介、企業が安全文化を育成するための要件として、「トップのリーダーシップ」やミスを率直に報告できる「報告の文化」など8項目を提示した。(10月26日 神戸新聞)
 
 定時出発よりも安全を優先する。急ぐことが当たり前の効率文化と対峙して、社会文化として、時間をかけて取り戻していかないと、二度と起こさないことにはならないだろう。人間がITのスピードに合わさなければならない理由はどこにもないはずだ。

■10月9日

 
災害時医療 被災後、胃潰瘍増加 ストレスから疾患

 
阪神・淡路大震災や新潟県中越地震を教訓に、災害時の医療について考える市民公開フォーラム(日本消化器関連学会機構主催)が8日、神戸の国際会議場で開かれた。両被災地とも、地震後に胃潰瘍の発祥が増加。避難生活などのストレスが、さまざまな疾患につながっている点が指摘された。
 京都大学大学院千葉勉教授は、震災後2ヶ月間に兵庫県内約60の医療機関を受診した人のデータから、出血性の胃潰瘍が増加したことを指摘、特に高齢者の危険性が高く、「胃潰瘍の原因となるピロリ菌の除菌も一つの予防策」とした。
 長岡赤十字病院の高橋逹・消化器科部長も「地震後に胃潰瘍が増え、過去に発症したことがない人が目立った」と報告。車中泊で多発したエコノミークラス症候群の予防策としては「車への避難は一泊を限度に」と呼びかけた。
(10月9日 神戸新聞)
 
 予想通りの結果といってよい。これまた予防とはいっても、危機に強い身体づくるをふだんから行うしかないのではなかろうか。「笑い」にも効用はあるだろう。

■10月2日
 
 
建物揺れる前に自身情報 大成建設、携帯などで知らせるシステムを開発

 
大成建設は29日、地震で建物が揺れる数秒前に、携帯電話や館内放送で知らせるシステムを開発したと発表した。
 社内で使用したところ、地震の震源地から60kmほど離れた建物に揺れが到達する9秒前に情報を配信できた。揺れに備えて避難したり、手術中の医師ならば、手もとが狂う事故を防いだりするのに役立つと見られる。
 気象庁が地震の最初の微弱な揺れを検知して出す「緊急自身速報」を社内に設置したサーバーで受信する。震源位置との距離、建物周辺の地盤の固さなどを考慮して、1秒ほどで震度や到達時刻を推定。自分のいる建物に地震の揺れが届く数秒前に、携帯電話やパソコン、館内放送などで知らせてくれる。大地震かどうかもわかる。
 今後は全国規模で予測ができるようにし、同社は来年度中に実用化したいと話している。
(9月30日 日経新聞)
 
 数秒間で、どこまで避難できるか。
 実用化されれば、建物の位置から数秒で移動できる空間感覚を持っておいたほうがいいことになる。一流のマラソンランナーで1秒間に約5m、100mランナーで約9m、してみるとあなたは何m? 想像してみてください。
 ここでも、事前の心構えが必要になってくる、ということだ。

■9月19日

 多文化共生でシンポジウム 
『在日ら復興で置き去り』 辛淑玉さん基調講演 現状直視を訴え


 
阪神・淡路大震災を機に叫ばれた多文化共生社会がでれだけ根付いたかを検証し、今後の可能性を探るシンポジウム「震災が結ぶ、日・韓・在日の文化の架け橋」が18日、神戸ハーバーランドの神戸新聞松方ホールで開かれた。在日コリアン三世で、人材育成コンサルタントの辛淑玉(シン・スゴ)さんが基調講演し、「震災復興で在日の人をはじめ弱者が置いてけぼりにされた。彼らの復興なくして異文化交流なんてありえない」と訴えた。
 辛さんは「震災の被害は在日に人が多く暮らす住宅密集地に集中した。この10年間、民族イベントをやってきた友人は、周りに仲間たちが戻らないため、もう息が切れたと嘆いている」と報告。「今の韓流ブームは文化のつまみ食い。日本の政治は、足元の在日の文化を捨て去っている」と批判した。

                         (9月19日 神戸新聞)
 
 出席していたので、あらためて触れるが、韓国は今年、定住外国人の地方参政権を付与することを決定した。今まで、相互主義を掲げて、付与することをためらっていた日本政府は、その論理の後ろ楯を失ったに等しい。相互互恵は外交の基本、それこそスピードアップで、在日定住外国人への参政権をアジェンダにするのが当然だ。
 一票を持たない人々は圧力団体にもなりようがない。それならだだをこねてやる、というのも人間として自然の発露だろう。未来指向というのなら、それをきちんとやってこそ、言えるというものだ。

■9月11日

 大震災 帰宅ルートは?
 防災マニュアル 売れ行き好調 震災10年契機、20冊超える
 建物危険度、生き残り術、詳細に


 
震災時の帰宅方法や生き残り術を紹介した地図、マニュアル本が相次ぎ出版され、売れ行きが好調だ。いざというとき、自分の身は自分で守れ、という実践的な内容が特徴。最近、震度5以上の強い揺れが列島各地を襲い、災害対策への関心が高まっていることが背景にある。

 ●震災マニュアル本 売り上げランキング(8/31紀伊国屋書店新宿本店)
 1位 震災時帰宅支援マップ 首都圏版 昭文社
 2位 大地震東京危険度マップ 朝日出版社
 3位 マグニチュード手帖 ワールドフォトプレス
 4位 東京直下大地震生き残り地図 旬報社
 5位 我が家の防災 駒草出版
                         (9月10日 神戸新聞)
 
 首都圏で売れているのは、ようやく、防災意識が高まってきたから、というより、相次ぐ水害なども局地的に起こっており、いまそこにある「災害」が現実に迫ってきたからという要因が後押ししているのだろう。行政マニュアルでけではダメで、パソコンの解説マニュアル本のほうが、読者の立場に立ったニーズに合致しているのと同じように、使い安いのではなかろうか。
なかには、より切実な「彼女を守る51の方法」(マイクロマガジン社)というのもあり、着眼点がよろしいようで、ひそかに研究しておけば、男をあげて鼻高々というところ。

■8月31日

 台風の60年 整備するほど、危険な所に人が住む。
 堤防は、本当に大丈夫なのか。
 災害は、社会の変容を映し出す。


 戦後の大型台風に匹敵する台風が来ても。もはやかつてのような被害は出ない。格段に安全になったことは間違いない。
 一方で、「(堤防など)インフラ整備をすればするほど。危険な所に人が住むようになった」と旧建設省河川局長だった竹村公太郎さんが言う。今や、国土の10%を占める洪水氾濫区域に、人工の50%、資産の75%が集中する。
 しかし、(水害防止の)よりどころとなるはずの堤防が、実はこころもとない。中がどうなっているのかわからないからだ。モグラが巣食っているかもしれない。
 国土交通省利根川上流河川事務所の佐藤宏明所長は「雨の降り方次第で、(利根川右岸50kmの)どこで堤防が切れても不思議はない」という。水は今なら2日で東京に達する。被害は33兆円にのぼると想定されている。(8月29日 朝日新聞)

 水害対策も転換期を迎えている。洪水を完全には防げない、という前提に、いかに人命を、とりわけ高齢者を救うかを考えるべき、という。
 あらためて、危険な場所には住まない、土地利用まで遡って災害対策を考え直すときがきた、と言っていいようだ。
 局地的豪雨の多発や、台風発生数は減るものの、発生すれば強い台風になるのは温暖化の進んでいる証。
 理屈はわかっても身体が反応しないのが、文明の便利に馴らされてしまった多くの現代人。自然災害のみならず、日常生活においても、危険予知してとっさに回避する術を知らないので、危険感覚が麻痺していると言っていいだろう。
 都市における夜半のひとりあるきなどもそうだが、「君子危うきに近寄らず、通らず」は、けだし名言なのである。

■8月27日

 心身医学会議 神戸で災害時医療シンポジウム
 「周囲の連携が不可欠」


 神戸市で開催中の「世界心身医学会議」のシンポジウム「災害における全人的医療─阪神・淡路大震災から10年 神戸からの報告」が25日、中央区の神戸国際会議場で開かれた。
 兵庫県災害医療センターの中山伸一副センター長は「患者の身体を診るだけでなく、精神面への配慮が心と身体の傷を小さくする。私たち救急医も心身医学を学ばなければならないし、災害直後から精神科医や心療内科医の介入も必要」と指摘した。
 また神戸赤十字病院の村上典子心療内科部長は「被災者には、経済状況の悪化やコミュニティの喪失等様々な苦痛があり、『全人的なケア』が求められる」と強調した。
 兵庫県こころのケアセンターの藤井千太主任研究員は、「被災地の惨状と混乱のなかで、何かしなければという思いが空回りしやすい。医師自身もトラウマを受ける可能性がある」と救援者の心のケアの必要性にも触れた。(8月26日 神戸新聞)

 震災から10年。教訓というかたちではなくても、災害現場医療は漸進したと言えるのだろう。しかし、大本はといえば、きわめて細分化された医療に従事する医師それぞれに「仁術」さえあれば、危機においても汎用的に乗り越えられるものもあるのではないかということだ。
 教養を意識することなく当然に身につけた世代の医師と、単なる医師国家試験を通ればいい、というだけのマニュアル医師では、機器対応能力が異なるのも当然だ。
 そのために、ことさら体系づけて、マニュアル化しなければならない先輩医師たちの余分な労苦を思うと暗澹たる気分に陥ってしまう。

■8月21日

 人的被害の地震 過去10年で最多

 気象庁の統計によると、人的被害を伴う地震の発生回数は、今年6月末までに13回に達し、すでに過去10年で最多となっている。
 一般に地震の震度が4以上になると、恐怖感を持つ人が増えると言われる。昨年後半から海外を含めて地震被害が報じられる機会が増えているとの実感が消費者にあり、被災時の備えへの関心が継続している面があるようだ。(8月18日 日経新聞)

 ちなみに2000年と04年の9回をのぞいて、96年から01年までは4回が最高であって、02年から右肩あがりになっている。
 ということは、まだまだこれからも地震はやってくると思ってさしつかえない。先だっての宮城沖地震にしたところで、これからも起きる可能性が高いのだから。
 したがって、ここにきて、防災用品が脚光を浴びはじめた。首都圏のホームセンターや雑貨専門店から百貨店では、帰宅困難者のための簡易セットから緊急避難セットなどまで、およそ1500円から30000円を越すセットまで、にわかに売れはじめた、という。
 まさに、関東・東海・南海大地震の警戒時間帯に入ったということなのだろうか?

■8月8日

 教育ニーズ取り組み支援プログラム 「防災」「震災」研究など
 文部科学省 県内3大学、4件を選定
 

 文部科学省は5日、大学等の社会的な課題に応じた優れた取り組みに財政支援する「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」の2005年度の選定結果を発表した。神戸大学は震災の教訓を次世代に継承する「震災教育システムの開発と普及」で、学校や地域で使える教材づくりや普及に取り組む。神戸学院大学は、人文科学系4学部の学生を対象にした「防災・社会貢献教育プログラム」で地域や自治体と連携し、体系的な防災教育に取り組む。
 年間最大2400万円が2〜4年間、助成される。(神戸新聞 8月6日)

 
 防災のためなら、それなりの評価が定まり、補助金という名の予算がつくようだ。長い期間なので、どのような成果が生まれるのか、評価するのは文部科学省なのだろうが、両代学においては、節目節目でその途中経過をPRしていただきたいし、マスメディアも追い続ける必要があるだろう。
 せっかくの国家予算、研究者たちの社会的還元が期待される。

■7月29日

 神戸空港訴訟 二審も住民側が敗訴
 大阪高裁 財政への悪影響は指摘
 

 大和裁判長は判決理由で「空港の建設で経済波及効果が期待できる。需要予測は国のガイドラインに基づいており、すでに航空会社が就航を表明している」などと指摘。「神戸市長の財政支出を命じた判断が、社会通念に照らして著しく妥当性を欠き、裁量権を逸脱するとは認められない」と述べた。
 住民側は「償還できる見通しがない起債を重ね、安全性も確保されていない」などと主張し、判決は「神戸地裁判決と同様に「市財政に悪影響を与える可能性がある」と指摘。しかし「空港建設の必要性がないとは認められず、違法とする理由がない」と結論づけた。(神戸新聞 7月28日)

 
 昨年二月の一審を受けて、航空三社が相次いで就航を表明した後での判決。地裁では、行政に課題をつきつけたが、今回はそこまでの迫力はない。既成事実の積み重ねを社会通念としたのだろう。とんでもない需要予測についても、「国が認めているのだから」というのではあまりにも根拠薄弱だが、それに依拠してしまっている。所詮、司法は「違法でなければいいんでないの」と言っているにすぎない。
 原告団は当然上告の意向を示している。さて、最高裁の判断は来年の開港の前に出るのだろうか?

■7月22日

 
医療連携でワークショップ 神戸で 大規模な災害を想定
 

  阪神・淡路大震災やJR尼崎脱線事故のような大規模災害時の医療連携体制を整備しようと、神戸市役所で21日、周辺自治体や医療機関による第一回ワークショップが開催された。11月までに計3回の会合を持ち、議論を深める。
 震災10年を機に神戸市危機管理室が企画。兵庫県災害医療センター、神戸赤十字病院など医療機関△県警、自衛隊など防災機関△県内自治体と大阪市など、22機関から60人が参加した。(神戸新聞 7月22日)

 
 報告あり、事故想定による議論あり、よりよい対応策を話し合ったとのことだが、連携体制ができる前に、それぞれの機関が「態勢」を整えておかなければならない。
 非常時の指揮体制には、方針の根幹がぶれないこと、そして、優先的事象と枝葉末節事象のふるいわけと臨機応変の対応と、非常にむつかしい判断が求められる。それぞれのプロとして、しっかりと連携してもらいたい。
 11月の最終結果発表に期待するが、災害救助には「難民」対応の感覚が求められるのではなかろうか?

■7月13日

 芦屋市の移動入浴車「祐次郎」号 新潟の被災地へ
 「石原プロ」寄贈 阪神大震災で活躍
 十日町市の商店街がボランティアに活用

 
 阪神・淡路大震災で芦屋市の被災者を癒した移動入浴車「石原祐次郎号」が、新潟中越地震の被災地・十日町市に無償譲渡されることが9日までに決まった。震災翌年に淡路出身の俳優渡哲也さんらの「石原プロ」が、復興支援にと寄贈したバス型の特別仕様車(購入価格2500万円)。10年の節目を経た今月末、再び新たな被災地へ向かう。(神戸新聞 7月9日)

 
 こんなあたたかい気持ちになるニュースもいいですね。なんだか、モノでありながら、モノでないようなモノに変身している感じがします。被災者に役立つという使命をきちんと果たすために、生きているという…。

■7月6日

 
随想 地盤と人の棲み方 柳田邦男
 
 六月に新潟県中越地震の地盤災害調査に出かけた。《中略》
 長岡市濁沢では、山肌の出入りに沿ったくねくねと曲がる旧道はしっかりと残っているのに、谷筋を埋めて直線道路にした新道は無惨に崩壊していた。山中にわずかばかりの直線道路を作る意味はなんだったのか?
 地滑りや崖崩れの多くは、雪山の表層雪崩に似て、古い地層の上にできた堆積層が崩れたものだった。同行の地震学者・酒井潤一氏(信州大学名誉教授)は、「斜面の堆積層を削って道路を作ったことが、地滑りの誘因となったと見られるところがかなりありますね。自然を支配できると錯覚した近代科学技術の脆さを見せつけられた。反省すべきです」と語った。(柳田邦男 神戸新聞 7月6日)

 
 もちろん工事は阪神・淡路大震災前の建設・工事基準で、粛々と進められたものであろう。なんの落ち度もない。世界に冠たる土木工事技術大国だったからだ。
 問題は、技術者たちが、認識として「近代科学技術への懐疑」をもって、今後の科学技術開発に臨めるか、ということだと思う。

■7月2日

 
エイズ国際会議 神戸で開会式 
 予防しないと5年後… アジアの感染 1780万人に


「第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議」は1日午後、神戸市中央区のホテルで開会式を迎えた。国連合同エイズ計画など主催団体の挨拶に続き、エイズウイルス(HIV)感染者ら35人が登壇。代表の女性が「すべての人に、私たちをパートナーとしてみてほしい」と訴えると満場の拍手がわき、研究者、行政関係者と感染者が一体となった会議を印象づけた。
 式典には45か国の会議参加者約3000人のうち、1700人が出席。感染者らでつくるNGOの代表を務めるインドネシア人女性のフリカ・チア・イスカンダーさんは「私たちがここに立つことは大きな賭け。この姿が母国に伝われば、差別を受けるかもしれない」と述べ、「私たちが本当に怖いのは血の中のウイルスではなく、皆さんの心の中にあるウイルスだ」と続けた。
 国連合同エイズ計画はアジア・太平洋地域でHIV感染の予防や治療が現在のレベルのままだと、2010年には感染者が1780万人に達するとの報告書を発表。抗ウイルス薬療法を広め、コンドーム使用促進など予防対策の拡大を呼びかけている。(7月2日 神戸新聞)

 震災とは直接関わりはないが、このようなウイルスの人間への逆襲は、当初、貧者をねらい撃つがごとく、免疫抵抗力を弱らせてやってくる。
 昨今のニッポン社会の規矩の欠けた「性のはどめのなさ」が、対策を講じなければ、蔓延を防げない状況を生み出している。
 問題は感染可能性の高い、同性愛者や麻薬常用者ほど、このような試みに背を向けていることだ。有史以来、連綿と続く人類の歴史に対して、ウイルスは逆襲にかかっているにもかかわらず、まだまだ人類の奢りは続いていくのだろうか。

■6月26日

県庁スタイル 危機管理 存在かけ、対応に挑む
 兵庫県災害対策センター


 危機管理。兵庫県の元年は阪神・淡路大震災。取り組みは防災から始まった。95年の震災当時、防災を担っていたのは消防交通安全課の消防担当者だった。96年、全国で初めて知事直轄の防災監を任命。2000年、専用庁舎「災害対策センター」を開設した。
 今春、センターは災害対策と防災企画の二局に分かれた。職員は六課70人。いざというときに備え、四人が交代で宿直勤務につく。
 危機は広いエリアで発生する。都道府県にとって強みを出せる分野といえる。  防災先進県を自負する兵庫。危機への対応はその存在をかけた挑戦でもある。(6月26日 神戸新聞)

 まず動く、それから対応を考える、というセンターの対応。天災だけではなく、経済効率優先と技術至上主義のメンテナンス不足の災害が目立つようになってきた。ヒューマンエラーが、大きな事故につながっている。
 しかしながら、ふつうの各市町には防災専任の職員がいないところが多い。だとしたら、今は県がひっぱっていかなければならない。市町の人材を育てるのが県の仕事でもある。

■6月19日

 ポスト復興10年 どう対応? 被災者の関心は… 踏み込んだ論戦を
 新人 公的支援の強化を訴え
 現職 住宅共済制度を強調


 舌戦が始まった兵庫県知事選。17日は阪神・淡路大震災から10年5ヶ月で、選挙戦では10年の復興行政の評価や教訓を生かした防災のあり方などが問われる。復興そのものが争点だった過去2回とは様変わりし、今回は「ポスト10年」も焦点。被災地からは「高齢者をはじめ弱者へのきめ細かい支援が今こそ課題」との声も目立つ。(6月18日 神戸新聞)

 現職は前職、貝原知事の副知事、しかも旧・自治省の後輩だ。復興行政は、貝原知事のトップダウンに近いかたちで行われてきただけに、副知事として露払い、もしくはフォロワーとしてやってきたという印象しか持ち得ていない。
 一方、新人は元共産党県会議員、いかにも、福祉畑を歩んできたまじめな人、という印象。政治家=ステーツマン、というイメージからはほど遠い。
 国政とは異なるので、現職には自民、民主、公明、はては社民までが推薦し、新人には共産が推薦する、というもっとも投票率があがらない構造となってしまった。
 組織にのっかって、まあ、無難な人をという現体制側と、なんだか「同じ負けるなら、若手で行こう」というふうにしか見えない反体制側。
 勝負になるような戦いに持っていけなかった、というのでは、政治のプロとしては「はずかしい」のではなかろうか。

■6月6日

「家再建を考える段階」 新潟の被災地「応援する会」
 現状を報告 今後の議論も


  新潟県中越地震の被災地支援を目的に、阪神・淡路大震災の被災地のNPOなどでつくる「KOBEから応援する会」(新潟県長岡市)が5日、中央区の人と防災未来センターで活動報告会を開き、今後の方針等を議論した。地震から約7ヶ月を経た現地では、雪解けとともに復興が本格化したばかり、同会は、神戸で新潟の物産展を開くなど、息の長い支援を計画している。(6月6日 神戸新聞)

 この日、現地のNPOや学識者が結成した「中越復興市民会議」の稲垣文彦事務局長が被災地の現状を報告したが、旧山古志村では、ようやく家屋被害調査が終わったところで、家の再建はこれから、という段階。雪が降り始めるまでには、少しでも見通しがついていないと大変、という。山村地区での復興も試行錯誤になってほしくはないのだが、初めてのことだけに、英知を結集していってほしい。
 また、JR西日本の事故以来、地元だけに、メディアの関心は集中、数少ない震災関連情報については、神戸新聞がやはり頼りとなる。
 このような小さな記事を継続的にきちんと報じ続けていただきたい。

■5月30日

震災10年 思い出 教訓 たかとり教会再建控え
 コミュニティセンターが感謝祭 久々の再会 300人交流


 阪神・淡路大震災で消失したもののボランティアの拠点となったカトリックたかとり教会(長田区海運町)の再建を控え、敷地内の8団体でつくるNPO法人たかとりコミュニティセンターが28日、「たかとり10年感謝祭」を開いた。震災10年を語るフォーラムなどに、元ボランティアや住民ら約300人が参加した。(5月29日 神戸新聞)

 再建工事は約1年後に完成の予定。ペーパードームたかとりは、台湾に移設され、再利用される。教会という敷地が、地元の住民、ボランティアの活動拠点になったことは、ことばの本来の意味での「コミュニティ」が現出したことだった。コミュニティの崩壊が進行する現代社会にあって、いま日本のあちこちで逆方向へのねじが巻かれようとしている。もちろん、単純な回帰ではなく、民主主義というスタイルをまといながら。
 その成果はもう少し長いスパンでみたほうがいい。あれから10年、だけどこれからも、まだまだ、コミュニティ復権の模索は続く。

■5月24日

 震災の非情さ パンソリに 韓国の名人ら出演
 「赤い月」上演 29日神戸・長田にて


 阪神・淡路大震災からの10年をそれぞれに考えてもらおうと、「大震災十周年パンソリ公演/記憶し 伝える」が29日午後1時半から、新長田勤労市民センターで開かれる。
 韓国・全羅北道無形文化財の曹*少女(チョ・ソニョ)さんらが出演する。兵庫出身の廬進容(ロ・ジンヨン)さんが震災の非情さをうたった「赤い月」が創作パンソリとして初上演される。
 パンソリは朝鮮半島の民俗芸能。唱者が太鼓の伴奏にあわせ、歌、せりふ、振りで長い門語りを演じる。パンソリの力強さに魅せられた中山一郎大阪芸大教授らが実行委員会を組織し、チョさんらの公演を震災直後の1995年5月に企画。 それから10年となる今回、チョさんら8人が来日。司会は辛淑玉(シン・スゴ)さん。中山教授は「この10年の間、それぞれが大切にしてきたもの、そして失ったものを考えてもらえれば」と話す。
 予約、問い合わせは、電話078-851-2760神戸学生青年センター(5月24日 神戸新聞)*正しくは、縦棒が一本です。

 詩集「赤い月」が震災関連書棚に見当たらない。どこへ行ってしまったのか? 震災関連詩集のなかで購入した数冊のうちの一冊である。在日の著者による詩編の一つ一つの言葉が哀切な響きとなって迸っていた。
 10年を経て、それがパンソリになる。どのように表現されるのか、非情に興味深い。平日の午後だが、一見の価値あり。

■5月12日

 残る課題に対応を 被災10年で緊急提言
 兵庫県震災復興研究センター


 市民団体「兵庫県震災復興研究センター」(代表理事・西川栄一神戸商船大学名誉教授ら)は11日、阪神淡路大震災の発生から丸10年が経過したことをふまえ、国や自治体が残された課題に対応するよう求める緊急提言を兵庫県知事、神戸市長あてに提出した。
 提言は、
・災害援護資金の返済問題、復興住宅での孤独死といった課題への取り組み
・新潟県中越地震や福岡県西方沖地震などでの生活・住宅再建支援の充実
・国の住宅再建支援制度の改正
・耐震診断、改修の促進
・地域防災計画の実効性の確保
・災害復興基本法の制定
 などの6項目。
 提言は首相や各閣僚と全国の都道府県知事にも送付する。(5月12日 神戸新聞)

 ちょうど、国際防災復興協力機構(International Recovery Platform)が人と防災未来センター内にオープンした日のことだった。記事の扱いはしたがって、3段分。まだまだ残る課題をしつこくおい続ける姿勢は、もっと人の目にふれてよい。
 確かに、自然災害からの復興支援についての国際的な調整機関はこれまで十分ではなかっただけに、専門家のネットワークづくりや人材育成に、関係各方面からの期待は集まる。
 スタッフは6人。まずは復興実例のデータベースづくりやセミナー開催から始まるが、やはり、一部の参加機関が期待するように、復興活動に関する国際的なトレーニングセンターとして機能することをイメージしたい。
 一方で、震災10年の鳴りもの入りで始まった感があるので杞憂かもしれないが、いわゆる国連活動において指摘されるように、単なる国連関連官僚の一研究機関に堕してしまわないように、願いたい。

■5月5日

 大地震記者座談会 伝える それが使命
 復興 最後の一人まで 被災者の「今」を記録 意識の風化防ぎたい
 「安全」導く報道を


 「地震空白地帯」で発生した3月20日の福岡県西方沖地震は、日本列島のどこでも大地震が起こることを見せつけた。各地で多発する災害の教訓を生かすために、何をどう伝えてていくべきか─。福岡・西日本新聞、新潟・新潟日報、兵庫・神戸新聞の記者たちが語りあった。
 磯辺(神戸)「食べ物も住まいも十分に無い時代をひきずった国の災害対策への意識に門代がある。豊かな時代だからこそ復興がむずかしいということをもっと問い続けて行かなくてはいけないと思っている」
 中村(新潟)「被災者が今、何を求めていて、何が問題になっているのか。「今」の部分を毎日書かなくてはいけない」
 田中(西日本)「防災の先進地といわれる静岡県の取り組み等伝えていきたい」
 川原(西日本)「だれも地震が起きることを意識していなかった。次への安全につながるような紙面をつくりたい」(5月4日 神戸新聞)

 どこも、想定しなかったことが起こって、それから本気で紙面づくりに取り組むことになったという経緯だ。大都市直下型の阪神・淡路、そして、中山間地域モデルの新潟・中越、都市型近郊島嶼地域の玄海島・志賀島、それぞれ固有の風土を持っている地域に起こった災害だからこそ、このような共有型の情報交換が望まれる。メディアも我が社意識をとっぱらって、災害復興情報はふだんから継続していってほしいものだ。

■4月27日

 神戸・震災シンポジウム 「復興対策は現場優先で」

 5年前の鳥取県西部地震で、全国初の公費による住宅再建支援制度を創設した同県の片山善博知事や、新潟県中越地震で全村避難が続く旧山古志村(現・長岡市)の村長だった長島忠美・同市復興管理監(神戸新聞 4月25日)らを招き、復興や防災のありかたを考えるシンポジウムが24日、神戸市中央区で開かれた。          市民団体「兵庫県震災復興研究センター」が主催、約200人が参加した。
 長島氏は「中山間地の高齢者は,戸建てでの自立生活を望む。まとまった数を建設し、一戸800万円程度の住宅が実現できないか検討している」と報告。「中山間地での災害復興のの出るとなり、全国の人々に恩返しをしたい」と、「山古志モデル」の確立に力を注ぐ考えを示した。

 山間地で高齢者が多かった被災者の不安を取り除くことが大事と強調した片山知事。今、困っている人のために、現場主義、スピード感、復旧(元の姿に戻す)という教訓を得たという。一方、中山間地で農業(自営)が多かった新潟では、雪に阻まれた数カ月の足ぶみから解き放たれて、これから、またの冬までの期間でどれだけのことができるか、復興の正念場となる。
 地域共同体としての性格が強固だった山古志の今後の復興プロセスは、まだまだ日本では数として多い小さな共同体にとってのパイロットになるはずだし、なってもらわなくてはいけない。
 長岡といえば、維新の際に長岡藩をひきい、中立としての「筋」を通して、官軍と戦いぬいた家老・河井継之助を思い出してしまうが、行政に対する信頼がまだある地域だけに、NPOとして関わる人々は当然のことながら、「公」に携わる人々には、とりわけがんばっていただきたい。

■4月17日

復興支えたペーパードーム 台湾の被災地へ移設
 神戸・長田 たかとり教会


 阪神・淡路大震災で消失したカトリックたかとり教会(長田区海運町)に建てられた「ペーパードームたかとり」が、台湾大地震の被災地に移設されることになり、16日、実行委員会が発足した。両被災地でまちづくりに取り組む市民の交流がきっかけ。受け入れ側の代表寥嘉展さんも訪れ、「まちづくりの拠点とし、新たな生命を吹き込みたい」とあいさつした。
 震災直後に建築家、坂(ばん)茂さんが神戸を訪れ、「軽量で移設も簡単」と紙の建築を提案。ボランティアたちの手で95年9月に完成した。直径33cm、高さ5mの列柱58本がテント製の屋根を支える。
 住民秋季や教会のミサ、コンサートに活用された。6月上旬に解体、移設先は被害が大きかった南投県桃米を予定している
 *移設費を募る
 郵便振り替え講座「ペーパードーム移設基金00900-2-297106」(神戸新聞 4月17日)

 震災後、何十回と訪れたところだが、復興まちづくりにおいて拠点があることの強みが発揮された好例だった。たかとり教会の再建がきっかけにはなったが、リユースという、まことに時宜を得たもので、ぜひ、早めに移設費用が達成されることを願う。

■4月6日

 スリランカ住民調査 「津波知らなかった 94%」
 スマトラ沖地震で アジア防災センター 4割が「波迫り 避難」


 昨年12月に発生したスマトラ沖地震による津波で多数の犠牲者が出たスリランカで、大人の9割以上が「津波」を知らなかったことが四日、アジア防災センター(神戸市中央区)の住民アンケート調査(同国南部のゴール県 大人1324人+子ども1112人、行政・学校関係者ら計2582人)で分かった。防災意識の啓発については、8割近くが「学校教育が有効」と回答。同センターは、「今後の防災対策の指針にしてもらいたい」としている。(神戸新聞 4月5日)

 スリランカは南アジアのなかでも識字率の高い国だが、洪水や地滑りは知っていても「津波」については、知らなかったのが実情。
 子どもは学校でのできごとを家庭内で話すことが多いそうなので、こどもに学校で教えると効果的という声が8割を占めたという。
 環境教育もそうだが、子どもが「鍵」を握っている、のである。

■3月23日

 ブロック塀の危険露呈 首都圏なら死者1000人資産も 

 福岡県西方沖地震で死者を出す原因となったコンクリートブロック塀の倒壊は、身近にあるブロック塀の危険性をあらためて浮かびあがらせた。
 ブロック塀の高さや補強に使う鉄筋の太さ、鉄筋を入れる間隔などは建築基準法施行令で定められている。しかし専門家によると、比較的手軽に設置できるため、鉄筋が基礎部分とつながっていないなど、必ずしも基準は守られていない。
 昨年末の中央防災会議での試算では、震度6強の首都直下型地震が発生すると一都三県(東京、千葉、神奈川、埼玉)でブロック塀などの倒壊などによる死者は1000人にのぼるとされる。(3月22日 神戸新聞)

 クワバラクワバラ、という感覚の復活、です。「ブロック塀」というキーワード、そして「頭上のガラス」。ふだんから気をつけながら歩くしかありませんな法令を守れ、といっても、徹底できない昨今の状況では、やはり、自身の感覚を敏感にするしかありません。ここでも「武術的体さばき」に神経を働かせてみませんか、と呼びかけたいですね。

■3月13日

 
震災10年 市民が検証 地域づくりの行動目標提案
 公共施設の自主管理等 50項目 


 阪神・淡路大震災以後の市民活動を検証し、今後の地域づくりの行動目標を提案する『阪神・淡路大震災10年 市民社会への発信』を、被災地の民間非営利団体(NPO)らで組織する「震災10年市民検証研究会」(事務局 西宮市 山口一史代表)が出版した。住民が地域のためのサービスを生み出す「コミュニティ・ビジネス」の重要生などを提唱。(3月10日 神戸新聞)

 論々神戸のスタッフも入っている研究会ですから、一部手前みそになるのかもしれませんが、震災5年のときに出版している「市民社会をつくる」から、一段と具体的に進展した活動などを紹介しています。
 多少、概念的に見えるのはやむをえませんが、それにも増して、課題に思えてならないのは、やはり5年、10年ときて、世代継承のことです、この5年にどれだけ次の世代が活動の流れに参入してきているのか、なかなかみえてきません。
 大学院生などが研究対象、あるいは、実地活動に乗り込んできていることはよくわかるのだが、しごととして、これらの活動に飛び込んでくる人たちがほしいのではないだろうか? でないと、市民活動も高齢化する、というのではあまりにも寂しい。

■3月4日

 災害援護資金貸し付け 神戸市2職員 悪質滞納 
 給与一部 差し押さえ 市の対応に批判も 


 阪神・淡路大震災の被災者に自治体が貸し付けた災害援護資金の滞納問題で、神戸市が悪質滞納者として強制執行による差し押さえに踏み切った借り受け人のなかに市職員2人が含まれていることが28日、わかった。いずれも返済能力がありながら、市側の再三の要請にも応じなかったという。(3月1日 神戸新聞)

 あらら。30代と40代というから、世間のレベル以上の給与をいただいているであろうに、なにかしらの借金で廻らないのかしらん。月々払えるだけ返す少額返済制度も利用しなかったのだから、上限が350万円だから、普通であれば返済できるはず。
 我々が会社のために利用する国民金融公庫は、もともと月10万円に満たない返済額だけど、返していっているが、350万円だと3年〜4年で完済するよ。
 もう10年経っているのだから、社会通念(世間)上、通りませんわな。
 市は、個人情報のためにコメントできない、というので、当事者の側の言はきけないが、果たして当人たちはどのような理屈を持っているのでありましょうか? 
 これをして「みっともない」というのである。

■2月25日

 災害援護資金 政府、兵庫県、神戸市の要望を受け、償還延長を検討 

 阪神・淡路大震災の被災者に国と自治体が貸し付けた「災害援護資金」で、政府は25日、国からの過視付け原資を自治体が国へ償還する最終期限を延長する検討を始めた。
 同資金は全半壊世帯に上限350万円を貸し付けする制度で、原資の3分の2を国が自治体に貸し、残りを自治体が負担。
 県内で56000件、約1309億円の利用があり、05年中に借り受け人から自治体への返済期限が迫るが374億円が未済。(2月25日 神戸新聞)

 そうか、28.5%が未済、つまりは返せない、返さない。予想では約100億円が回収困難とみられているそうだ。未済分は国への償還費用も含めて、兵庫県と神戸市が全額肩代わりすることになる。
 震災後10年の積みのこし、パンチがボディブロウのように効いてくる。兵庫県では生活保護世帯数も50000を突破、10年前の1.8倍(人口に占める割合は1.38%、全国平均は1.12%)になっている。絶対数、伸び率ともに全国平均を上回り、とりわけ神戸市、阪神間など都市部で増加している。
 たいした数字ではないとする見方もあるが、これがおさまる傾向にあるのならいい。ここにきて中央では景気の腰折れなどと取りざたされはじめ、もともと復活傾向など実感できぬ神戸経済にとっては、決して見過ごせない数字だと思われる。個人消費にがのびないわけだから。
 だが、消費がのびないことを前提に、景気に左右されない生き方の模索、これこそが庶民の智慧のみせどころ、売り上げがのびなくても生き延びることを考えていきたい。

■2月20日

 
重複避けたい 情緒的表現

 連日震災の文字を目にするので、ちょっと気になり、2月1日から15日までの半月間にどれだけの阪神・淡路大震災関連の記事があったか数えてみた.実に76本、平均して一日5本である。他の新聞(全国紙)の全てに目を通したわけではないが、おそらく「震災」という一つのトピックでこれだけの記事量を誇るのは神戸新聞だけだろう。
 どの記事も新聞社として掲載の必然生があったと思いたいが、同種の内容が重なっていたりすると、ちょっと疑ってみたくもなる。(音楽プロデューサー・中川博志 2月20日 神戸新聞)

 本誌にも寄稿していただいた中川氏は、上記に続いて、センバツに出場する神戸の2校についての記事が一面、地域面、社会面と3つも重なっていることを指摘した。兵庫県の復興本部が解散し、10年の節目を過ぎて、今後、同様の動きは加速することだろう。折しも、震災の被災者ニーズを把握し行政などに提言する第三者機関「被災者復興支援会議」(座長・室崎益輝・消防研究所理事長 現在、大学教授や民間団体代表ら15人で構成)も、10年間に計26回の提言を行ってきたが、この3月末をもって解散することになった。
 今後の機能の継承について論議されるようだが、はたして、どのようなかたちでつないでいくのか、ことは徐々に「普遍」にならしていくのか、それとも「現場」にこだわり、穴をきちんと掘り続けるのか、あるいは並列しながら双方を求めて行くのか、「有識者」と呼ばれる方々の熱意がためされていく。

■2月14日

 読者モニターの声 震災10年報道 教訓発信これからも
 風化させない意義 再考を 世界の防災の動き伝えて


 震災10年の1月17日、夕刊一面の見出し「無念 尽きぬ『なぜ』」に共感の言葉をいただきました。
 全国紙夕刊は「復興10年 新たな一歩」「KOBEの心 世界へ」などと記しています。「被災地の新聞以